2015.12.01

イランの女子レスリング誕生に逆風? 女性の国歌演奏が禁じられる

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 共同通信やフランスの通信社AFPによると、11月26日にイランの首都テヘランで開幕したレスリングの国際大会「世界レスリングクラブカップ」で、国歌の演奏を予定していたテヘラン交響楽団が、女性奏者がいることを理由に直前に演奏を禁じられたという。主催者のイラン・レスリング協会によって開会式に招かれた同楽団は、本番15分前になって当局から「女性はステージで演奏できない」と通告されたという。

 イランはロウハニ政権によって社会の自由拡大が進行。女性がやることはおろか観戦も禁じられていたレスリングでも、観戦が緩和され、ベルトレスリングやグラップリングに女子選手が誕生するなど、女子の進出が期待されていた。

 しかし保守強硬派が巻き返し、男女の接触を嫌ってか、コンサートが当局の介入によって突然中止される例が相次いでいるという。イランではイスラム教の考えに基づき、女性が公の場で1人で歌ったり音楽を演奏したりすることは禁じられているが、公的行事は男女で演奏していたという。

 レスリングの男女平等への道の最後の関門とも言えるイランだが、オリンピックスタイルの女子レスラー誕生の道は険しいか。