※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
銅メダル獲得の4選手。左から川井友香子、五十嵐未帆、菅原ひかり、渡利璃穏。
吉村祥子監督(エステティックTBC)は「金、銀がなかったことは残念ですが、今年から出場規定が変わり、世界のメダリスト、大陸のメダリストが多数出て来て、世界選手権のベスト16選手による闘いといった感じの中で、4人が銅メダルを取ったことは評価したい」と振り返った。
メダルを取れなかった選手の中にも、強豪に勝ちながら連勝する体力がなく続かなかったり、強豪に惜敗という内容もあったそうで、「この先、十分に闘えると思いました」と言う。一方で、外国の急成長も感じ、「金メダルを取るためには、まだ相当の努力と強化が必要」という感触も正直な気持ち。「各所属と強化委員会が一丸となってリオデジャネイロ以降の強化を進めたい」と言う。
リオデジャネイロ・オリンピックの代表権を目指して全日本選手権75kg級に挑むアジア大会63kg級チャンピオンの渡利璃穏(アイシン・エィ・ダブリュ)は、初めて69kg級に出場。準決勝で2012年ロンドン・オリンピック72kg級優勝のナタリア・ボロビエワ(ロシア)に8-10で黒星を喫したが、3位決定戦で勝利。階級アップの“テストマッチ”を銅メダルで飾った。 解団式で選手にアドバイスを送る吉村祥子監督ほかスタッフ
ボロビエワは75kg級ロシア代表のエカテリナ・ブキナより強いのでは、と言われるロシア最強の選手。「オリンピック・チャンピオンとできたのは大きい。勝てなかったのは悔しかったけど、経験にはなった」と言う。
ただ、「75kg級の選手はもっと重いだろうから、体をつくりたい。まず、食べて体重を増やします」と、75kg級で通じる体づくりが全日本選手権までの約3週間の引き続きの課題だ。
■斎藤将士コーチ(警視庁)の話「想像していた以上にレベルが高く、正直言ってびっくりした。その中でも、惜しい試合もあった。ただ、惜しい、で終わらせず、勝ち切るためには何が必要かを考え、伸ばすところは伸ばし、直すところは直して頑張ってほしい」
■48kg級銅メダル・五十嵐未帆(至学館大)の話「シニアの国際大会は2回目。準決勝で世界5位の選手と闘い、差があったことを感じました。勝ちたい気持ちがすごく、パワーの差がありました。(登坂)絵莉さんはそういった人たちに勝って世界チャンピオンになっています。勝てるように日々努力していきたい。準決勝で負けて、すぐには気持ちの切り替えができなかったけれど、出る以上は入賞したいと思い、切り替えることができました。3位決定戦は自分の動きができてテクニカルフォールで勝ち、納得しています。全日本選手権では優勝を目指して頑張ります」 日本女子チーム
■60kg級銅メダル・川井友香子(愛知・至学館高)の話「メダルは取りたいと思っていたので、取れたことはよかったのですが、勝った試合も含めて練習でやっている組み手ができなかった。その部分が駄目でした。1回戦は8-0とリードしながら、守りに入ってしまって5点を取られてしまったことも反省材料です。でも3位決定戦は、相手が投げがうまいことを知っていたので、あまり組まないようにしてタックルでポイントを取ることができたのでよかったです。日本でも勝ち切れていないのに、こうしたハイレベルの大会で闘うチャンスをいただけたことに感謝し、もっと頑張りたいと思います」