※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
葈澤謙(自衛隊)
トップレベルの選手がこの大会に出る場合、力試しとして上の階級に出場する場合が多い。今回の葈澤は階級アップを決めての出場であり、全日本選手権への出場資格がかかった大事な一戦だった。
準決勝では、昨年のアジア選手権97kg級代表の中井伸一(東計電算)を破り、自分より体重のある選手との試合に勝利。決勝は大学時代に2回負けている奈良部嘉明(筑西広域消防本部)が相手。苦手意識を持つことははなかった選手だが、すんなりとは勝たせてもらえず、第1ピリオドはもつれてしまった。それでも後半はスタミナの差もあり、リードを広げて振り切ることができた。「減量がない状態での試合は、よく動けました。練習の通りの動きができました」と、階級アップ後最初の試合を振り返った。 決勝で闘う葈澤謙(自衛隊)
「決断が遅かったことは確かです」との後悔はあるそうだが、それを振り返っても時間は戻ってこないので、やるしかない。パワーの差は感じたが、「スピードでカバーすれば、どうにかなる感じがした」と、全日本選手権までの残り1ヶ月間、86kg級で通じる闘い方を研究する腹積もりだ。
自衛隊の86kg級には、全日本選抜選手権2位の赤熊猶弥がいる。3月のロシア~モンゴルの遠征では2大会連続でメダルを獲得するなど国際舞台ででも台頭している選手。練習では「負けることが多いです。たまには勝ったりもしますが…」と言うが、全日本王者を争う選手が身近にいることをプラスと考えるべきだろう。
もちろん、勝たなければリオデジャネイロへの道は途切れる。「(赤熊は)減量がきつい選手です」と話し、減量のない状態で闘える自身の利を生かし、壁を乗り越えたいところだ。
全日本選手権の86kg級に、新たな選手が台頭するか。