2015.11.05

【虎の穴・閑話】狸(たぬき)にダマされた人間!(会長:福田富昭)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(公財)日本レスリング協会
会長 福田富昭


我らが誇る、女子レスリングの虎の穴、新潟県、十日町市の

山の中の『桜花レスリング道場!』

人里離れた一軒家。我らがオリンピック強化合宿中のある日、

ヒョコ、ヒョコと1 匹の狸(たぬき)が足を引きずりながら現れた。

気持ちの優しいレスリングコーチ達は、

腹が減っているのだろうかわいそうに…と思い、

明治のおいしい牛乳と選手達のパンを与えた。

狸は美味しそうにそれをご馳走になり、

何度もこちらを振り返りながら山へ戻って行った。

次の朝、その狸が又現れた。

今度は玄関の前の草むらで横たわっていた。

コーチ達は「また、来たのかぁ」と、

また、明治のおいしい牛乳とパンを与えた。

それを美味しいそうにたいらげると、また山へ戻っていった。

次の日もまた現れた、また草むらで横たわっていた。

良く見ると今度は、グーグーいびきをかいていた。

それでも優しいレスリングコーチ達は、また同じようにしてやった。

   

私はそれを見ていて、コーチ達に怒った!

「バカ!あれはなぁ、狸の『狸寝入り』というんだ、

足をひきずったり、『狸寝入り』をしたりして

人間を騙しているんだぞ!」と怒鳴ったら狸はびっくりして

その日はピョン、ピョンと四つ足で弾んで山へ帰って行った。

 

それから私が行くと、狸は現れなくなった。

さすがの狸も、しまった!

「バレタッ!!」と思ったのだった。

おわり(H27.10.31)