※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(公財)日本レスリング協会
会長 福田富昭
狸(たぬき)寝入り!
山の中の『桜花レスリング道場!』
人里離れた一軒家。我らがオリンピック強化合宿中のある日、
ヒョコ、ヒョコと1 匹の狸(たぬき)が足を引きずりながら現れた。
気持ちの優しいレスリングコーチ達は、
腹が減っているのだろうかわいそうに…と思い、
明治のおいしい牛乳と選手達のパンを与えた。
狸は美味しそうにそれをご馳走になり、
何度もこちらを振り返りながら山へ戻って行った。
次の朝、その狸が又現れた。
今度は玄関の前の草むらで横たわっていた。
コーチ達は「また、来たのかぁ」と、
また、明治のおいしい牛乳とパンを与えた。
それを美味しいそうにたいらげると、また山へ戻っていった。
次の日もまた現れた、また草むらで横たわっていた。
良く見ると今度は、グーグーいびきをかいていた。
それでも優しいレスリングコーチ達は、また同じようにしてやった。
私はそれを見ていて、コーチ達に怒った!
「バカ!あれはなぁ、狸の『狸寝入り』というんだ、
足をひきずったり、『狸寝入り』をしたりして
人間を騙しているんだぞ!」と怒鳴ったら狸はびっくりして
その日はピョン、ピョンと四つ足で弾んで山へ帰って行った。
それから私が行くと、狸は現れなくなった。
さすがの狸も、しまった!
「バレタッ!!」と思ったのだった。
おわり(H27.10.31)