※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
タレント発掘・育成コンソーシアム事業報告(7)
国内育成プログラム 第1回グレコローマンスタイルスペシャリスト育成キャンプ
JWF タレント発掘・育成コンソーシアム
清水 聖志人
スパーリングの様子
本事業は、全国規模で有能なタレント・アスリートを継続的に見出し、最適な育成・強化を図る手法・仕組みを調査研究・開発する。これらの手法をもとに、地域タレントからメダルポテンシャルアスリートまで確実に引き上げるシステムの構築を目指している。
レスリング協会のタレント発掘・育成コンソーシアムは、「インテリジェントレスラーの育成」をコンセプトとしており、全国のU-12世代、U-15世代、カデット世代、ジュニア世代から優秀なタレントを発掘し、国内及び海外育成プログラムによって育成を行う。
本事業においては、グレコローマンスタイルに適性があると考えられるタレントに、高品質な機会(コーチング、実践機会)を提供するグレコローマンスペシャリスト育成プログラムの開発を推進している。
海外の強豪国では、早期の段階からグレコローマンスタイルを戦略的に育成・強化している。一方、日本においては、高校年代までフリースタイルを専門に行い、大学入学後にグレコローマンスタイルへ種目転向する選手が通常である。
そこで、2014 年度のターゲットエイジ育成・強化プロジェクト「タレント発掘・育成コンソーシアム」事業にて、U-15世代、カデット世代におけるグレコローマンスペシャリスト育成のプログラムを開発し実施した。2014年度事業において、基礎的なプログラムを作成し、実施した。しかしながら、幼少期よりグレコローマンスタイルの専門的なトレーニングを行っている強豪国と比較し、グレコローマンスタイルを専門的に学ぶ機会は未だ乏しい現状がある。 松本慎吾コーチ(日本体育大学教員)によるコーチング
その一環として、2015年10月2日(金)~10月4日(日)の期間、第1回グレコローマンスタイルスペシャリスト育成キャンプを実施した。今回の育成キャンプにおいては、グレコローマンスタイルにおいて継続的に強豪選手を輩出している日本体育大学(健志台キャンパス)を実施拠点として選定した。大学にて国内育成プログラムを実施するのは今回が初めての試みである。本キャンプには、日本レスリング界の将来を担う10名(中学生3名、高校生7名)のタレントが参加した。
マットトレーニングにおいては、日本体育大学レスリング部の選手に加え、現役の日本代表選手等を相手に、スパーリングを中心としたメニューを行ったうえで、この世代の技術的課題について徹底したコーチングを行った。
マット練習後には、各コーチより、各選手へのスキル的要素、体力的要素に関するフィードバックが行われた。高いレベルの相手とトレーニングすることで、課題を抽出し、改善に繋げることがタレントのステップアップには求められるため、有意義な機会を創出できたと考えられる。今後も、本プログラムの内容やタレントの適応を評価したうえで、さらに洗練された育成プログラムを開発していくことが肝要となる。
第2回は、2016年1月から2月を予定している(実施場所は調整中)。
本事業は、日本レスリングが永続的にメダルを獲得するための発掘・育成システムの構築を目指すものであり、独立行政法人日本スポーツ振興センターより事業の成果報告が求められる。このことから、本協会に関わる全ての関係者が方向性を共有し、事業の推進に努める必要がある。
![]() トレーニング前のミーティング |
![]() スパーリングの様子 |
![]() 基本動作のコーチング |
![]() 基本動作(差し押し)の確認 |
![]() 補強トレーニングの様子 |
![]() 太田暁央トレーナ―(自衛隊)によるセルフコンディショニングのレクチャー |