※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
初日に2位に21点差をつけた拓大が、日体大の猛追を振り切り、全日本大学グレコローマン選手権で2年連続11度目の優勝を達成。「馳浩」という名前の入った文部科学大臣杯をレスリング界で最初に受け取った。西口茂樹部長は「世界選手権や合宿のためチームを空けることが多かったにもかかわらず、選手はよくやってくれました」と選手の頑張りをねぎらい、ホッとした表情を浮かべた。
第1日終了時点で、拓大の42点に対し、山梨学院大が21点、専大が19点で、日体大は14点と4位だった。拓大の優勝はほぼ決まりとも思われたが、得点表を見た西口部長は「ここが来ますよ。まだ分からない」と4位の日体大を指差し、慎重な姿勢だった。
ふたを開けてみると、その予想通りの日体大の快進撃。最終的に4・5点差まで詰め寄られ、ちょっぴりヒヤリとした優勝だった。「最終日に日体大が48点(4階級優勝)を取る可能性は十分にありましたから」と、敵の戦力を正確に分析していた。
全日本チームにかかわることの多い西口部長に代わって、チームを盛り立てたのは高谷惣亮コーチだった。自身の世界選手権出場もあったが、この大会に向けては学生に近い立場でチームをまとめてきた。
才能ある選手の数では「日体大の方が上でしょう」と言う。その中で「みんなが西口部長やボクを信じてついてきてくれた。ボクや西口部長が不在でも『拓大は強いことを証明してくれ』と言い続けてきた。自覚をもって練習していたのが、この結果につながったと思います。4年生を中心に、選手達は課題をもって練習していたと思います」と、選手の自主性を優勝の原動力に挙げた。
来月11月14~15日にはフリースタイルの全日本大学選手権が大阪であり、この勢いを持ち込んで2011年以来の優勝を呼び込みたいところ。「どの大学にも強い選手はいるので簡単には勝たせてもらえない。チームが一丸となって優勝を目指したい」と言う。
拓大が勢いを増せば、自分も燃える。「拓大が勝ち、自分が全日本選手権で勝ち、(オリンピックの)アジア予選で勝つ、という流れを描いています」と、チーム、個人の双方での飛躍を誓った。