※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
激戦の決勝を勝ち抜いて世界一に輝いた登坂絵莉(左)と吉田沙保里
登坂は2013年以来、3年連続優勝を達成。吉田は世界選手権を13大会連続で優勝、3度のオリンピックを含めて16度目の世界一に輝いた。5試合勝ったことで、個人戦で200連勝をマークした。土性は2013年の銅、14年の銀に続き、3年連続でメダルを獲得した。
3選手は日本協会の規定により、12月の全日本選手権に出場すれば来年のリオデジャネイロ・オリンピックの代表に内定する(日本オリンピック委員会の承認によって決定)。
登坂は初戦の2回戦と3回戦をテクニカルフォールで勝った後、ヤリギン国際大会(ロシア)1位のバレンティナ・イスラモワ(ロシア)を6-0で撃破。準決勝でパンアメリカン大会優勝のジェネビーブ・モリソン(カナダ)を6-4で破った。決勝は2012年ロンドン・オリンピック銀メダルで最大のライバルと目されていたマリア・スタドニク(アゼルバイジャン)をラスト7秒で逆転、3-2で勝った。
吉田は4回戦までの3試合を無失点のフォールかテクニカルフォールで快勝。準決勝で昨年3位のヨン・ミョンスク(北朝鮮)を5-2で破った。決勝は3年連続でソフィア・マットソン(スウェーデン)との対戦となり、0-1とリードされたが、第2ピリオドで逆転。2-1で勝った。
土性は3回戦で昨年のアジア大会75kg級優勝の周風(チョウ・フォン=中国)に黒星。敗者復活戦を勝って3位決定戦へ進み、2013年アジア選手権優勝のナサンブルマー・オチルバト(モンゴル)を6-5で下し、銅メダルを獲得した。
男子グレコローマン85kg級の岡太一(自衛隊)は初戦でギリシャ選手に敗れ、敗者復活戦へ回れなかった。
男子グレコローマンはこの日で終了。66kg級の泉武志(一宮グループ)が1勝しただけに終わり、1勝9敗の成績だった。国別対抗得点は、1階級優勝で46点のロシアが優勝。2位はアゼルバイジャン、3位はウクライナだった。日本は得点なしで33位。
《女子のリオデジャネイロ・オリンピック出場権獲得規定=抜すい》 ■2015年9月世界選手権大会にて (1)代表選手がメダルを獲得した場合 → 2015年12月の天皇杯(全日本選手権)に出場した時点で内定する。(計量のみは不可) |
◎男子グレコローマン
【85kg級】岡太一(自衛隊) 42選手出場
1回戦 ●[Tフォール、3:34=0-10]Dimitrios Tsekeridis(ギリシャ)
《試合経過》開始早々、岡が横に振られてバックポイントを奪われる。2分50秒にスタンドで前に出たところにそり投げを合わせられて2失点。0-4で折り返し。第2ピリオドは、岡が足をかける反則で相手に2点が入り、その直後、胴タックルを決められて4失点。0-10のテクニカルフォールで敗れた。
※敗者復活戦へ回れず
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《国別対抗得点》
[1]ロシア 46点
[2]アゼルバイジャン 39点
[3]ウクライナ 35点
[4]イラン 31点
[5]カザフスタン 23点
[6]ベラルーシ 21点
◎女子
【48kg級】登坂絵莉(至学館大) 優勝=35選手出場
決 勝 ○[3-2]Maria Stadnyk(アゼルバイジャン)
《試合経過》第1ピリオドの2分24秒、先にアクティブタイムを受けた登坂。攻め切れずに1失点。第2ピリオド1分すぎ、2度目のアクティブタイムで無得点だった登坂は2点のビハインド。だが、残り15秒でタックルを仕掛け、テークダウンで2点。アゼルバイジャン陣営は、場外の1点ではないかとチャレンジしたが、失敗に終わり、3-2で逆転勝利した。
準決勝 ○[6-4]Geneviève Morrison Haley(カナダ)
《試合経過》1分すぎに登坂は、相手のタックルを回り込んで2点。第1ピリオドは2-0で終了。第2ピリオドは、バックポイントからアンクルホールドを決めて6-0とリードを広げる。だが、残り1分半を切ると相手のタックルなどで失点。6-4と追い上げられた。
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4回戦 ○[6-0]Valentina Ivanovna Islamova(ロシア)
《試合経過》登坂は開始早々、右脚へのタックル。エビ固めに決めて2点を加え4-0。第2ピリオドの中盤、右脚へのタックルで2点を加え、6-0とした。
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3回戦 ○[Tフォール、5:42=13-2]Yana Rattigan Stadnik(英国)
《試合経過》登坂は19秒で相手を落としてバックで2点。さらに左タックルで2点。タックルを回り込まれてバックを許すが、攻撃姿勢は変わらず、第1ピリオドで8-2とする。第2ピリオド、登坂は堅実に攻め続けて得点を重ね、最後は腕取りから、ニアフォールで5分42秒で13-2とした。
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2回戦 ○[Tフォール、3:54=10-0]Narangerel Erdenesukh(モンゴル)
《試合経過》第1ピリオドの53秒、登坂が左タックルから崩してバックポイント2点。第1ピリオドの終盤にはあびせ倒し気味の4点技で6-0とリードして折り返し。第2ピリオドも左からの片足タックルがさえて得点を重ね、3分54秒でテクニカルフォール勝ちした。
1回戦 BYE
【53kg級】吉田沙保里(ALSOK) 優勝=40選手出場
決 勝 ○[2-1]Sofia Magdalena Mattsson(スウェーデン)
《試合経過》第1ピリオド1分20秒、吉田がアクティブタイムを受け、30秒間攻撃できずに1失点。第2ピリオドの開始早々、両足タックルで場外ポイントの1点、さらに片足タックルで場外ポイント1点を奪って2-1と逆転。マットソンの怒とうの攻撃をこらえて2-1のきん差で勝利した。
準決勝 ○[5-2]Jong Myong Suk(北朝鮮)
《試合経過》第1ピリオド1分半すぎに相手がアクティブタイムを受けて、30秒以内に攻撃できなかったため1点が吉田に入る。その後第1ピリオドは動きなし。第2ピリオド、今度は吉田がアクティブタイムを受けるが、30秒間にバックポイントを奪って2-1と逆転。4分40秒すぎに相手のアクションから互いに2点を取り合って5-2で試合を終え、決勝進出を決めた。
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4回戦 ○[Tフォール、1:46=11-0]Anzhela Dorogan(アゼルバイジャン)
《試合経過》吉田は開始1分、両足タックルで4点。相手のチャレンジが失敗し1点が追加される。その後も、高速タックルを2度決めて、わずか1分46秒で11-0で勝った。
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3回戦 ○[フォール、1:28=12-0]Thi Lua Nguyen(ベトナム)
《試合経過》吉田は第1ピリオド36秒、両足タックルで4点。その後も立て続けに両足タックルを決めて、12-0で勝った。
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2回戦 ○[フォール、1:06=6-0]Nadine Simone Tokar(スイス)
《試合経過》開始20秒、吉田がタックルからバックを奪って2点。さらに両足タックル。一瞬相手が抱え込んで返されそうになるが、押しつぶしてそのままフォールした。
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1回戦 BYE
【69kg級】土性沙羅(至学館大) 3位=32選手出場
3決戦 ○[6-5]Ochirbat Nasanburmaa(モンゴル)
《試合経過》第1ピリオド、土性はアクティブタイムを取られ、攻撃できずに0-1。直後にタックルへ行って2-1。第2ピリオド、4-1としたあと、足をかけられてテークダウンを奪われ、さらにタックルで2失点。一時的に逆転されたが、体勢を入れ替えて体を預けてニアフォールへ。ラスト10秒で逆転。
敗復戦 ○[12-10]Martina Kuenz(オーストリア)
《試合経過》第1ピリオド、テークダウンで2点を先制した土性だが、バックを取られローリング2回転で2-6。しかし、バックを取り返し、外無双で攻めて8-6と再逆転。第2ピリオドもポイントを取り合い、10-10の内容でリードの状態から、最後に2点を加え、12-10とした。
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3回戦 ●[7-11]Zhou Feng(周風=中国)
《試合経過》第1ピリオド、攻めあぐねた土性はアクティブタイムを課せられる。攻めたところをバックに回られ0-2。第2ピリオド、タックルで2点を取ったものの、スイッチされて1点を失い、ローリング3回転で2-9。土性はタックルで反撃し、またさきでフォールの体勢へ持ち込むが、決め切れず、6-9となってラスト1分8秒。警告で1点を加え、タックルで攻めたが、かわされ、グラウンドで失点して7-11となり、試合終了。
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2回戦 ○[8-6]Alina Stadnik Makhynia(ウクライナ)
《試合経過》第1ピリオドの2分ころ、土性がバックを取って2-0。第2ピリオド、土性はアクティブタイムを取られたが、その間に4点タックルを決め、ニアフォールを奪って8-0。しかし、首投げのような投げ技を受けて4点を返され、さらにテークダウンを奪われて6-8へ。それでも残り30秒を耐えて振り切った。
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1回戦 ○[フォール、2:54=8-0]Krystsina Fedorashka(ベラルーシ)
《試合経過》第1ピリオドの前半、土性がバックへ回り、グラウンドで攻めて4-0。さらにタックルを決め、時間をかけてしっかりと押さえ込み、フォール勝ち。