※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
国際オリンピック委員会(IOC)と世界レスリング連盟(UWW)は、それぞれの公式ホームページ上で、2018年にアルゼンチン・ブエノスアイレスで行われるユース・オリンピックで、UWWがレスリングの男女18階級を再配分することを決め、IOC理事会が承認、史上初めて男女同数のオリンピックになることを報じた。男女各1893選手で、オリンピック(ユースのみならず、通常のオリンピックを含めて)史上、初めて男女が同数の大会になるという。
オリンピックにおける男女平等はIOCの理念であり、課題のひとつ。IOCのトーマス・バッハ会長(ドイツ)は「すばらしいステップ。この動きをオリンピック・アジェンダ・2020(オリンピック改革案)へつなげていきたい。(IOCの)理念達成のため決断をしてくれたUWWのネナド・ラロビッチ会長には深く感謝したい」と話した。
ユース・オリンピックのレスリングは、昨年の中国・南京大会の場合、14階級(男子各スタイル5階級、女子4階級)に男子80選手、女子32選手の計112選手が参加した。次回から「18階級」になるとの報道はないが、「男子9階級、女子9階級」か、階級数に差はあっても、参加選手は男女で同数になる可能性が高い。
【焦点】この動きが加速すれば、早ければ2020年東京オリンピックでも男女同数が要求されることになる。来年のリオデジャネイロ・オリンピックは、男子12階級(各スタイル6階級)、女子6階級で行われ、選手数は男子が228選手、女子が108選手(他に男女にかかわらないワイルドカード=主催者推薦枠=8選手)。
レスリングに認められている344選手のまま、IOCが男女同数を求めてきた場合、男女各172選手とせねばならない。男子はこれまで以上に狭き門となってしまい、これまで何度も言われてきたフリースタイルとグレコローマンの一本化などの議論が再浮上する可能性が出てくる。
トーマス・バッハ会長は、2013年2月にレスリングのオリンピック競技からの除外問題が出た最初から、終始一貫して反対の立場をとってきた“親レスリング派”の会長。UWWネナド・ラロビッチ会長が先月IOC委員となり、IOCとのパイプが強くなったことで、ここは「男子12階級、女子12階級」「男子228選手、女子228選手」による男女同数実現を願うばかりだ。
(文=樋口郁夫)