※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
ハンガリーから帰国したグレコローマン重量級選手とコーチングスタッフ
スパーリングが中心の練習だったが、練習試合の日も2日あり、練習だけでは分からない外国選手相手の実力を知るには絶好の合宿だった。笹本睦・日本協会アシスタントコーチは「正直なところ、現段階では差がありました。試合結果? ほとんど勝ててないですよ」と苦笑いするが、前半はやられる一方だった相手に後半は自分の形で闘えるようになっていた部分もあり、「進歩はありました」と言う。
「自分の(世界の中での)立ち位置を知ってほしい。それを知ることで目指すところが見えてくる。オリンピック出場枠を取るためには、もっとやらなければならないことを各自が自覚してくれたと思う」と話す。重量級の場合、軽中量級以上にパワーの差が言われているが、「補強トレーニングなどを見て、それは感じました。今後も継続した筋力トレーニングが必要だと思います」と話した。
土曜日は練習が休みだったが、選手が筋力トレーニングと技術練習をやりたいと申し入れてきたそうで、「気持ちの進歩はあったと思います」と、選手の積極性は評価した。
遠征には筋力トレーニングを担当しているマルチサポートの角一哲児トレーナーが同行し、「今年の世界選手権のためというより、その先を見据えた筋力トレーニングをやらせました」と、筋力づくりも並行して行った。
合宿にはロンドン・オリンピック120kg級銀メダルで、2013年世界王者のヘイキ・ナビ(エストニア)が参加していた。園田が100kgくらいしか上がらないハイクリーンを、ナビは150~160kgを普通にやっていたという。世界王者になる選手のパワーを痛感。「日本選手はもっとやらないとならないですね」と言う。 笹本睦コーチ(右側手前)から最後のアドバイス
■85kg級・岡太一(自衛隊)「笹本コーチから『初めの1週間は、やられてもいいから思い切っていけ』と言われ、自分の力を知るためにも積極的にいきました。その中から分からないことを、コーチのアドバイスを受けながら取り組んできて、かなり克服できたと思います。あとは反復です。練習時間は短くとも、闘う相手は強い選手ばかり。集中してやりました。練習が終わってからも、日本チームだけで練習することもあり、かなり追い込めたと思います」
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■98kg級・米平安寛(三恵海運)「ヨーロッパのレベルの高い合宿でした。強くて、いろんなタイプの選手と練習できて、すごくためになる合宿でした。もとだち(3人1組となり、2人が1人に対して次々と挑む練習)は、すごく息があがり、練習時間は短くとも息が上がることが多かったです。1マットを使っての大会そのものという感じの練習試合もやってくれました。角一トレーナーの指導でマットサーキット、ウエートトレーニングもやりました。マットでの練習だけではない有意義な合宿をこなせました」
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■130kg級・園田新(拓大)「7月のポーランド遠征の反省点をふまえて臨みました。練習試合をやって、まだまだだと思いました。2013年世界チャンピオンのナビ(エストニア)とはスパーリングも練習試合もやりましたが、差があります。トレーニングではボクの1・5倍から2倍の重さ、回数を上げています。スピードもあるので、この選手に近づくには、まず、これまでやってきたこと(筋トレ)を続けなければいけないことが分かりました。『日本では練習相手がいない』などという言い訳をせず、(軽量級選手相手に)動きのある練習やスパーリングの必要性を感じました。しかし、ナビと練習したことで、自信がついてきました」