男子フリースタイル | 57kg | 61kg | 65kg | 70kg | 74kg | 86kg | 97kg | 125kg |
男子グレコローマン | 59kg | 66kg | 71kg | 75kg | 80kg | 85kg | 98kg | 130kg |
女 子 | 48kg | 53kg | 55kg | 58kg | 60kg | 63kg | 69kg | 75kg |
※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
男子フリースタイル | 57kg | 61kg | 65kg | 70kg | 74kg | 86kg | 97kg | 125kg |
男子グレコローマン | 59kg | 66kg | 71kg | 75kg | 80kg | 85kg | 98kg | 130kg |
女 子 | 48kg | 53kg | 55kg | 58kg | 60kg | 63kg | 69kg | 75kg |
《松本篤史・略歴》 / 《松本篤史・国際大会成績》 / 《男子フリースタイル86kg級展望》 / 《勝者の素顔》
《オリンピック&世界選手権・歴代優勝選手と日本選手成績=男子フリースタイル》
(文=樋口郁夫) 松本篤史(ALSOK)
それがモチベーションになっているのは言うまでもないが、松本は子供の誕生に際し、妻の出産に立ち会うため7月下旬の世界選手権代表チームのポーランド遠征を辞退。夫としての行動を優先した。「世界選手権で結果を出せなければ、『あの時、ポーランドへ行かなかったからだ』と言われることは分かっています」-。
結果を出さなければならない。ポーランドへ行かなかった分、国内でとことん練習を積んでいるという自負がある。「夏の全日本合宿と日体大の草津合宿で、どこまで自分を追い込めるか。そこを耐え抜ければ、世界選手権でもいい結果が出ると思います」。
守るべきものがある人間は強い、と言われる。家族のために信念の行動をとった松本。その強さがラスベガスのマットで発揮されるか。
■旧習にとらわれず、信念を貫いてポーランド遠征を辞退
欧米では、夫が妻の出産に立ち会うのは当然という風潮があり、重要な仕事や会議があっても、欠席することはざらにある。スポーツ界でも、米大リーグには産休制度があり、ブルージェイズの川崎宗則選手やブルワーズの青木宣親選手(現ジャイアンツ)はこの制度を使って試合を欠場し、妻の出産に立ち会った。 全日本合宿(味の素トレーニングセンター)で練習する松本
日本は、そうではない。戦後の高度経済成長を支えた世代の男なら、妻の出産で仕事を休むことなど考えられないだろう。時代は変わり、男の社員にも出産休暇や育児休暇を認めねばならない時代だが、上司や周囲の無言の圧力もあり、規定通りにいっていないのが現状ではないか。
スポーツの場合は法律の規定がない分、慣例が続くことが多い。日本代表クラスになれば、出産で練習を1日だけ休むことはあっても、遠征を辞退するケースは、そう多くあるまい。最近のレスリング界でも、合宿や遠征のため、子を産む妻のそばにいてやれなかった選手は少なくない。
「いろんな考え方がありますから、どちらが正しいとは言えないと思います」と松本。いずれにせよ、27歳の若さで旧習にとらわれない信念ある行動ができるのだから、その強さは必ずやマットの上で出てくるだろう。
■グレコローマンの練習も取り入れ、幅を広げる
国際大会で3大会連続メダル獲得と言っても、松本に満足の気持ちはない。「金メダルを取ったといっても、相手はアジアの選手が多かった。ヨーロッパの選手なら、もっとレベルが高い。チャレンジャーであることには変わらないです」と現状を冷静に分析。 全日本選抜選手権で勝った松本(赤)。時に“グレコローマン”が展開された=撮影・矢吹建夫
しかし、結果からして成長の証を感じるところは随所にある。昨年の世界選手権でのイラン選手との試合はテクニカルフォール負けだった。アジア選手権では、選手は違ったがイラン代表選手相手に3-6と6分間を闘い抜いたことは確実な前進。
2012年のワールドカップ(W杯)では5戦全敗だったが、昨年のW杯では2勝をマーク。世界の強豪相手に勝てる実力は間違いなくついてきた。目下の課題は、前半の失点をいかに抑えるか。アジア選手権決勝のイラン戦では、後半も勝負できたことで、実感した課題。「前半は無理に攻めず、プレッシャーをかけて相手の攻撃をしのぎ、後半で勝負をかける」という勝利の方程式を描いている。
強化の一環として、日体大ではグレコローマンの練習も取り入れている。タックル以外でポイントを取るケースが増えてきていること、外国選手の圧力に押し負けないこと、ばてた時の対処法など、自分の闘い方を貫くうえで必要だと感じて取り組んでいる。「チームに全日本チャンピオン(米平安寛=98kg級)や松本(慎吾)監督がいる」と練習相手はトップレベル。多角的なハイレベルの練習を積み、実力アップに余念がない。
技術と戦術の幅が広がり、人間として強くなった松本。夫と父の強さを、ラスベガスで爆発させたい。
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