※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子) 84kg級2位の辻大成(左)と74kg級優勝の吉田隆起。中央は森下浩監督
インターハイは、学校対抗戦優勝、個人は2人の春夏連覇と、春以上の成績を目標に掲げて京都に乗り込んできたが、学校対抗戦は準々決勝で霞ヶ浦(茨城)に3-4と惜敗し、昨年と同じベスト8。個人戦は吉田主将が春夏連覇を達成したが、三輪は準々決勝で敗退し、春以上の成績を残すことができなかった。
吉田主将は3年にして悲願のインターハイ王者に輝いたが、複雑な表情を浮かべた。「個人戦で優勝できてうれしいが、学校対抗戦の優勝にこだわっていた。決勝のマットに立てなくて悔しいです」と本音を漏らした。
和歌山北にとって今年は一つの転換期だった。森下浩監督は「団体戦(学校対抗戦)も個人戦も本気で狙ったインターハイは初めての経験」と言うほど戦力が整っていた。しかし、「まだノウハウが足りなかったのかもしれない。団体は優勝を目標に、3位以上は絶対死守と思っていたのに、その前に負けてしまって個人戦のモチベーションが落ちてしまった」と無念の表情。
霞ヶ浦(茨城)や花咲徳栄(埼玉)など全国大会の決勝の常連校になると、学校対抗戦、個人ともに優勝を狙うノウハウが蓄積されている。和歌山北にはその経験が足りず、学校対抗戦で敗れたショックを引きずってしまったことで、個人戦で実力を出し切れなかった。 決勝で闘う吉田隆起
■9月の和歌山国体で雪辱へ
森下監督は、敗れた三輪について「先にパッシブを取る選手なのに、全体的に後手に回っていた。準決勝の梅林(太朗=東京・帝京)戦の前に負けてしまって…。レスリング自体は負けてないのに、一歩間違えるとこうなってしまう」と予想外の敗退に肩を落とした。個人で圧勝した吉田についても「自分のレスリングができていなかった。実力の半分しか出せていなかった」と厳しく評価した。「4日間、戦い抜く厳しさと難しさを知りました。これも、いい経験になったと思います」。森下監督は、強豪校に定着するための課題を見つけた様子だった。
明るいニュースもある。84kg級の辻大成が2年生ながら決勝に進出した。森下監督は「うれしい予想外でした。2年生ですから、来年が楽しみな選手」と、やっと笑顔を見せた。
9月には和歌山国体が行われる(9月27~30日、那智勝浦町・那智勝浦町体育文化会館)。「三輪を鍛えなおして優勝させるようにしたい。和歌山県としても、総合優勝を目指して頑張ります」(森下監督)。インターハイで見えた課題を克服して、地元国体で雄姿を見せられるか―。