※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫) 初優勝の木村安里(群馬大)
決勝は全日本選手権決勝の再現で、菅原ひかり(至学館大)が相手。「取られてもいいから思い切りいこうと思った」という木村は、思惑通りリードして終盤を迎えたが、ここから菅原の反撃にあって防戦一方。それでも、猛攻を何とかしのいで初優勝を引き寄せた。「初めての優勝で本当にうれしい」と喜びをかみしめながら、「最後に受けに回ったのは反省点」試合内容を冷静に分析した。
トップ選手では珍しい国立大生ということで注目される。中学時代に全国大会2位、群馬・西邑楽高時代はインターハイ3位の成績を残した。強豪大学に進学する話もなくはなかったが、周囲の勧めや教員志望ということもあり、一緒に練習をしたこともある群馬大を選択。教育学部の門をたたいた。 決勝で闘う木村
春からは「精神的に弱い」という理由で、スポーツ心理学の研究室に入り、メンタルの強化に取り組んだ。これも好結果を生みだす要因だったことだろう。
前に出て圧力をかけ、相手に思うような動きをさせないのが理想のレスリング。まだ世界選手権への出場は決まっていないが、世界の舞台に立つことになっても心の準備はできている。「無名大学(の選手)なのでプレッシャーはない。世界選手権に出場したら優勝できるようにがんばります」。世界の舞台でも思い切り前に出るつもりだ。