※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫) 2年連続優勝を達成した森川海舟(東京・日野学園)
森川は「自分の持ち味はタックルしかないので、それで点を取ろうと思っていた」と思い通りの展開に満足そうな表情を浮かべた。
森川は全国少年少女選手権で7連覇の記録を持つ生粋のキッズ・エリートだ。同世代では敵なしの強さを誇り、同世代以外と闘う中学界でどのような記録を出すか注目されていた。全中デビューの2年前は、昨年の大会MVPとなった服部大虎(茨城・笠井=現千葉・柏日体高)に敗れて2位。全中3連覇の夢はそこで消えた。
「本当は。全国少年少女時代の7連覇+中学3連覇をしたかったか?」という問いに、「やっぱり、“10連覇”したかったです」と本心を吐露。少しだけ悔しそうな顔を見せたが、“負け”を知ることで、さらに強くなったことも自覚している。 決勝で闘う森川
常に王者として追われることは「大変」とも振り返ったが、今回は挑戦者の気持ちでマットに上がれたと言う。その理由も、負けたことがきっかけだった。森川は高校生に交じって、4月のJOC杯カデットの部46kg級に出場。準々決勝で高校生相手に7-8で逆転負けを喫した。
「勝っていて油断してしまった。負けたことで、今回は挑戦者になれた。試合も全試合集中できたと思う」と、会心の優勝だったようだ。
高校進学は、東京の高校を視野に入れている。「将来はオリンピックに出場してメダルを獲得したいです」と、キッズ・エリートの森川が、全中を最高の形で締めくくった。