2015.06.08

【関東高校大会・特集】3人の絆(きずな)で東京・帝京が創部初の団体優勝

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文・撮影=増渕由気子)

 エリート集団の絆(きずな)が集結しての優勝-。関東高校大会の学校対抗戦(男子フリースタイル)は、JOCエリートアカデミーの選手が所属する東京・帝京が、エントリーした50kg級の阿部敏弥、55kg級の乙黒拓斗、66kg級の梅林太朗の3選手全員が優勝。総合得点で24点をマークし、2位の埼玉・埼玉栄に3点差をつけて創部初の団体優勝を飾った。8階級中3階級のエントリーで優勝したのは初の快挙。

 同アカデミーは個人に特化した指導方針を持ち、インターハイなどの学校対抗戦には焦点を当てていなかった。この大会は個人戦の持ち点を合計して団体の順位がつく大会。アカデミーの江藤正基コーチは、「団体戦で優勝できるとは思っていなかったので、喜びもひとしおです。3人ともに優勝しようというスローガンを掲げてやってきた。インターハイに向けていい弾みになったと思う」と感慨深げ。

 アカデミーは少数精鋭だが、同じ階級に2選手が在籍したこともあり、同じチームでライバルとしてしのぎを削り合って成長してきた。現在の選手は全員が違う階級。江藤コーチは「ライバル同士だった時もあるが、今では自分の立ち位置が分かってきたと思う。アップなどで助け合ったりして、チームの団結力が生まれていた」と振り返った。

 団体優勝とは言っても、記録自体は昨年と同じ3階級制覇。ここ数年は花咲徳栄(埼玉)や霞ヶ浦(茨城)、埼玉栄(埼玉)などの特定の高校で優勝階級を分け合う流れが多かったが、今年は分散し、花咲徳栄、霞ヶ浦、埼玉栄の強豪チームがそれぞれ1階級優勝のみ。複数階級を制したのはJOCアカデミーが所属する帝京だった。群雄割拠の時代に突入したように見えた関東の勢力図だったが、厳しい戦いを勝ち抜いて3階級で優勝を飾れたのは真の力があったからだろう。

 夏のインターハイも楽しみだが、3人にはもう一つ大きな目標がある。世界カデット選手権(8月、サラエボ=ボスニア・ヘルツェゴビナ)だ。江藤コーチは「昨年もこの3人は出場しています。一昨年は(乙黒)拓斗が3位、去年は(梅林)太朗が3位に入りました。今年は(阿部)敏弥もメダルを取れるように頑張ってもらいたい。今回のように3人そろってコンディショニングを整えれば、外国でも優勝できると思います」と期待を込めた。

 乙黒主将は「みんなの力を合わせて優勝できたのはよかった。8月のインターハイ(京都・舞鶴市)でも3人そろって優勝できるように頑張りたい」と抱負を話した。