※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=増渕由気子) 高谷惣亮コーチの指揮のもと、昨年の5位から2位に浮上した拓大=提供・宮澤正幸
拓大は予選Dグループで日大を4-3で下して1位~4位リーグに進出。同リーグの2回戦で昨年2位の国士舘大を5-2で撃破。最終戦の日体大戦も125kg級の園田平がフォール勝ちして4勝目を挙げ、2勝1敗で終えて山梨学院大に次ぐ準優勝の結果を残した。
セコンドには昨年の世界選手権・男子フリースタイル74kg級で銀メダルを獲得した高谷惣亮(ALSOK)の姿があり、西口茂樹部長はその横のベンチで選手を見守った。西口部長に2位躍進のコメントを求めると、「今回はすべて高谷に任せたので、高谷コーチに聞いてほしい」と返答。リーグ戦前の追い込みから最終調整、メンバー登録、オーダー決定などのさい配のすべてを高谷コーチが担当していた。
リーグ戦では、どの大学も5月上旬のゴールデンウィーク期間中の練習がかぎを握る。今年は同時期にアジア選手権(カタール)が開催され、日本協会の男子グレコローマン強化委員長でもある西口部長が不在に。高谷コーチが西口部長に代わって、チームのメーンコーチとしてフル稼働していた。 西口茂樹部長(向こう側)の見守る中、選手に指示を出す高谷コーチ=撮影・保高幸子
■指導は自分が強くなるための選択肢の一つ
高谷は日本男子の顔でもあるトップ選手。「自分の練習もしつつ、コーチもしている」となると、自分の練習時間が気になるところだが、高谷は「学生と僕が一緒に強くなっていくという方針でやっています。コーチをすることは自分が強くなるための選択肢の一つです。どちらも100パーセントの気持ちでやっています」と両立に自信をのぞかせた。
もっとも、西口部長不在で指揮を執ったのは今回が2度目。昨年9月の全日本大学グレコローマン選手権でもアジア大会(韓国)と日程が重り、高谷コーチ主体でチームを切り盛りした。その結果、2年ぶり10度目の団体優勝を成し遂げ、胴上げも味わった。その経験もあってか、今回はコーチ業も板についてきたようだ。
優勝の行方を左右する山梨学院大との一戦では、拓大の中量級のエース、65kg級の高谷大地が山梨学院のルーキー、藤波勇飛に敗れる波乱があった。勢いを一気に持っていかれ、このあとの70kg級も敗れて4連敗。チームの敗戦が早々と決まった。 表彰式では笑顔なし。2位では満足できない!=撮影・矢吹建夫
■拓大コーチとして両スタイルの団体優勝が目標
「2、3年が主体のチームなので、今年はどこまでいけるかなと思っていたら、2位という結果でした。上々の出来です。来年は勝負していきたいです。僕はフリースタイルの選手なので、リーグ戦で優勝させたい、という気持ちは強いです」と、来年への抱負を語る一方、「拓大は、以前からグレコローマンが強い大学と言われてきました。秋の全日本大学グレコローマン選手権は確実に勝ちにいきたいですね」とも。
選手としては、来月の全日本選抜選手権(19~21日、東京・代々木競技場第2体育館)、そして来年のリオデジャネイロ・オリンピックに向けてモチベーションを高めているところだが、拓大コーチとしての目標も「両スタイルでの団体優勝」と、しっかり見据えている。―。
まずはこの秋、高谷コーチの胴上げが再現するか―。