※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫ほか) 最初のリーグ戦で好スタートを切った藤波勇飛(山梨学院大=左)と米澤圭(早大)。ライバル関係もスタートした。
ひときわ目を引いたのが、山梨学院大に進学した昨年高校四冠王の藤波勇飛(三重・いなべ総合学園高卒)と、早大に進んだ全国高校選抜大会&インターハイ王者の米澤圭(秋田・秋田商高卒)だ。
藤波は、大学初の3連覇がかかっていた今大会に中量級のレギュラーとして抜てきを受け、勝負どころの4試合に出場して全勝をマークした。第2日の拓大との一戦では、相手の中量級のエース、高谷大地(昨年世界選手権7位)を6-0で破り、チームに勢いづける3勝目をマークしたことがハイライトだろう。
最終戦の国士舘大戦は、チームスコア1-1のあと、国士舘大の古谷和樹主将をテクニカルフォールで下してリードを奪う白星をマーク。流れを山梨学院大に呼び込む活躍ぶりを見せた。
藤波は「1年生なのでプレッシャーも感じず、伸び伸びとできました」と、初めてのリーグ戦を振り返った。高谷から金星を挙げたことは「昨年のJOC杯はテクニカルフォールで負けた相手です。30回やって1度勝てるかどうか、という強い選手で、たまたまその1回が今日きただけ。チームの流れもありましたし、個人戦になったら、実力の差はまだあると思います」と、リーグ戦特有の雰囲気も手伝って勝利したと謙そんしたが、高いポテンシャルを発揮したことは確かだ。 山梨学院大の優勝を支えた藤波
■こちらも昨年の高校界の顔! 米澤も全勝で実力発揮
早大のスーパールーキー、米澤も目を見張る活躍を見せた。予選リーグからの全6試合の65kg級にエントリーし、すべて先輩たちと対戦しての全勝だった。
米澤は「1年生でこの大会に出られること自体がありがたいこと。少しでも勝って、先輩につなげていきたい気持ちでいっぱいでした。ものすごくいい経験になりました」と、幸先いい大学デビュー戦を振り返った。
高校時代は60kg級で活躍したが、大学入学と同時に階級アップを決意した。「オリンピック階級でしっかりやっていくと決めている。早大は少人数ですが中量級の層は厚くて、毎日いい練習ができています」。 全試合出場を果たし、全勝をマークした米澤
昨年のヒーローだった奥井は、リーグ戦全勝をマークして国士舘大の2位に貢献し、その後の夏の全日本学生選手権では32年ぶりとなる1年生で両スタイル優勝の快挙をやってのけた。同じような活躍が期待されるとともに、今回はグループ分けの関係で直接対決がなかった両者が、大学レスリング界で白熱した勝負を繰り広げることも期待したい。