※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文 マルチサポート事業部 角一哲児) 10ヶ国から約100選手が参加しての合宿
筆者がマルチサポート事業部(レスリング全日本チーム専属)トレーニング担当として海外遠征に帯同することは今回が初めてである。合宿には、ヨーロッパの強豪国やアメリカ・ナショナルチームなど総勢10ヶ国以上、100選手以上の選手が参加して、ハンガリー・ナショナルトレーニングセンターで実施している(右写真)。
練習メニューは午前と午後の2部構成となっており、マットワークのみの日や、マットおよびサウナ、ボールゲームの日などランダムに組み込まれて入る。全日本チームにおいては、朝食前に全員で体操を取り入れ、マット練習にはすべて参加し、その他、サウナやボールゲームの時間は、ウエイトトレーニングを実施した。
また、マット練習が終了した後も30分程度、補強トレーニングを実施した。合宿最初の1週間は4回のトレーニングセッション(うち1回はコンディショニングセッション)、残り1週間では2回のトレーニングセッションを組み入れた。1回毎のトレーニングセッションでは重量級と軽量級に分けて、別々のメニューを行った〈左下写真〉。
トレーニングセッションでは、試合直前ということもあり、殿部や背中などの大筋群に刺激を入れスピードも意識したトレーニングメニューを組み込むことで、筋繊維の発火頻度を上げて試合時のパワー向上や代謝促進を促し、効率的な減量を狙ったトレーニングが主になる。 マットでの補強トレーニング
軽量級は減量幅もあり、ランメニューや低重量ウエイト、自重などで大筋群に刺激を入れつつ、よりスピードや高回数を意識したトレーニングを実施して持久的パワー向上や代謝促進を意識した〈写真下の左〉。
コンディショニングセッションでは、疲労除去や障害予防、パフォーマンス向上を狙い、股関節や肩甲骨周囲の可動域拡大や適切な使い方のトレーニングを実施した。〈写真下の右〉
今回、外国人選手と日本人選手のスパーリング及びウエイトトレーニングを目の当たりにして体力的な差を感じた。とくに重量級では、骨格や筋力の差を痛感したが、その差を縮めることは可能であると思う。
そのためには、海外遠征、日本での練習に関係なく継続的なウエイトトレーニング実施や、マット練習終了後に補強トレーニングを行うことが大切になってくる。また、定期的な海外遠征で外国人選手と肌を合わせることも身体的側面から鑑みても必要だと感じる。
試合期に入った際にも試合で効果的なパワー発揮ができ、また効率的な減量ができるように、今後も引き続き、強化委員長、コーチと連携のもとレスリング特有な身体に適したメニューを取り入れ、トレーニング及びコンディショニング指導を行っていく。
![]() ダンベルスナッチで全身パワー強化(左) 素早いプッシュアップで上半身パワー強化(右) |
![]() コンディショニングセッション |