※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
ハンガリー遠征へ出発した男子グレコローマン・チーム
西口茂樹監督(拓大教)は26日に出発。それまで指揮をとる豊田雅俊コーチ(警視庁)は「合宿は多くの国の選手が参加することで有名。その中で自分の力を試してほしい。大会は、『これがオリンピック最終予選だ』というくらいの気持ちを持って臨ませたい」と話す。
同コーチも冬のハンガリー遠征には何度か参加しており、合宿と大会のレベルの高さは十分に知っている。「簡単に結果を出せないことは認識している」としながらも、「最高の緊張感をもってほしい」と、結果にこだわる姿勢を示した。
大会では、グレコローマンの新ルールがテストされることが予想される。テスト・ルールは学生選抜が参加した先月末の「デーブ・シュルツ国際大会」(米国)で実施されており、そこで得た情報を先週の全日本合宿で分析。対策に取り組んできた。豊田コーチは「スタンド戦が中心になっていくと思うが、基本は自分のレスリングを崩さないこと」と話し、過剰な意識は避けたいもよう。
「グラウンド戦が得意だった選手には不利になる」と言われているが、「そうした選手は、スタンド戦が不得意、というより、勝負していないだけのことが多い。スタンド戦が弱いということはない」と話し、勝負どころを変えることで乗り切れると見ている。 遠征に先立ち、選手を激励する豊田雅俊コーチ(警視庁)
“グラウンドが得意”という選手の一人に、この遠征の主将に推され、昨年に続いて4度目の参加となる75kg級の金久保武大(ALSOK)がいる。ルール変更は「うれしいことではない」としながら、「ネガティブ(否定的)な気持ちはない。挑戦する、という気持ち。自分だけが不利というわけではなく、そんな選手はたくさんいる。スタンドの練習を増やすだけです」と、悲壮感はない。
その意味でも多くの外国選手と練習できるこの遠征は貴重と考えている。「合宿も大会も、これまで以上の緊張感をもって参加することになる。新鮮な気持ち、挑戦者の気持ちで臨みたい」と話した。
2009年に初参加した時は最年少選手だったが、今回はオリンピック選手の松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)とともに最年長(注=学年は松本が1年上)。「自覚を持ちたい。何度も参加させてもらっているので、成果を出したい」と話した。
冬の遠征は選手を厳選することが多く、最重量級の選手がこの遠征に参加するのは2009年以来6年ぶり。それだけの期待をかけられている130kg級の園田新(拓大)は「合宿で外国選手に慣れて大会に臨みたい。大会では、去年の世界ジュニア選手権(5位)の時くらいの内容の試合をやりたい。今までやってきたことを出し切り、悔いのない試合をやりたい」と目標を話す。
今月19日の男女合同練習(公開練習)の際、最後の記念撮影で真っ先に最前列中央の吉田沙保里選手らの横に陣取り、その写真がスポーツ新聞数紙に掲載されて顔が全国に売れた(?)。しかし、「そんな形で掲載されるのではなく、自分の力で掲載されたい。オリンピックの予選だと思って頑張ってきます」と気合を入れた。
遠征チームは下記の通り。参加予定だった泉武志(愛媛県協会)は負傷のため取りやめた。
◎役員
【監督】西口茂樹(拓大教)、 【コーチ】豊田雅俊(警視庁)
【トレーナー】川崎淳(ハンズコーポレーション)
【帯同審判】芦田隆治(大阪・市立中央高教)
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◎選手
▼59kg級 太田 忍(日体大)
〃 文田健一郎(日体大)
▼66kg級 松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)
〃 堀後雄太(拓大)
▼71kg級 井上智裕(三恵海運)
〃 屋比久翔平(日体大)
▼75kg級 金久保武大(ALSOK)
〃 阪部 創(神奈川大)
▼80kg級 角 雅人(自衛隊)
〃 前田祐也(拓大)
▼85kg級 岡 太一(自衛隊)
▼98kg級 大坂 昂(三菱電機)
〃 志喜屋正明(国士舘大)
▼130kg級 園田 新(拓大)