※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子) 帰国した日本チーム
「クリッパン女子国際大会」のシニア部門(ジュニア含む)では、53kg級の向田真優(JOCエリートアカデミー/東京・安部学院高)が世界選手権代表レベルの選手たちを破って優勝。48kg級の加賀田葵夏(東京・文化学園大学杉並高)は、2012年ロンドン・オリンピック2位で昨年の世界選手権3位のマリア・スタドニク(アゼルバイジャン)に敗れ、惜しくも準優勝だったが、準決勝でアジア大会2位の中国選手を破るなど手ごたえをつかんだ。初の国際大会で3位に入賞した55kg級の今佑海(東京・安部学院高)を含めて、「金1、銀1、銅1」を3つのメダルを獲得。昨年銅メダル3つから躍進した。
向田は1月の「ヤリギン国際大会」(ロシア)でも2位入り、シニア2大会連続で表彰台にあがった。吉村祥子監督(エステティックTBC)は、「向田はもう一度やっても優勝できるほど、いい試合をしました」と成長に目を細めた。 監督らからの遠征最後のアドバイスを聞く選手団
楽観視はしていない。「(世界で)金を取るためには、もっとやらなければいけない」と2020年に向けて気を引き締めていた。
一方、カデットは昨年の「金8個」から「金6個」と、金メダル自体は昨年より2個減ったが、吉村監督は「昨年の方が出場人数が多かった。今回も非常にいい成績だと思う。全国の所属の先生たちの指導のおかげです。シニア、ジュニアともに今大会も充実した遠征となりました」と振り返った。
シニア・ジュニアの部でメダルを獲得した(左から)加賀田葵夏、向田真優、今佑海。
合同合宿では、世界選手権に出場しているソフィア・マットソン(スウェーデン)と練習できた。外国人選手は、合宿の時も常に100パーセントで当たってきました。自分も、もっと力をつけないとやられてしまうので、パワーでも負けないようにしたい」
■48kg級2位・加賀田葵夏(東京・文化学園大学杉並高)「マリア・スタドニク(アゼルバイジャン)と初めて対戦した。テクニカルフォールされて圧倒的な差を感じたが、自分の足りないことが分かった。スパーリングとかではなく、試合で闘えたことは、いい経験になった。準決勝ではアジア大会2位の強い選手と対戦しましたが、今持っている力がどれくらい通用するのかという気持ちで闘い、自分の技がかかってよかった。シニアに出たのは初めてで、いろいろな経験ができて、少し自信になりました」
■55kg級3位・今佑海(東京・安部学院高)「国際大会自体が初めてで3位。今回は勝つことを目標にするとともに、自分のレスリングがどれくらい通用するのか試したかった。その中で表彰台にのぼれてうれしかったけど、負けた試合は2点差だったので悔しかった。初の海外遠征で、準備からして分からないことがあったが、同級生の仲間もたくさんいたので助けてもらえました。4月のジュニアクイーンズカップでしっかりと成績を残して、また海外遠征で世界で闘えるようにしたいです」