※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子) 西村盛正さん(南九州大教)
西村さんは「今大会で6度目の出場でした。前回出場したのは10回大会でしたので、4年ぶりの出場で優勝できました」と満足そう。出場の熱意はあったものの、「大学の入試とかぶってしまうことが多かったので」と思いがかなわず、久々の出場で思う存分力を発揮したようだ。
西村さんは宮崎県出身で、宮崎日大高から日大に進学。卒業後はコーチとして2年間、日大に残って現役を続けた。その後、地元開催の国体のために帰郷し、南九州大に勤務して同大学の監督を務めている。仕事の合間をぬって、1995年にはブルガリアで行われた世界マスターズ選手権に出場して優勝した経験も持つ。
「校舎の移転のため、現在、残念ながらレスリングは休部中なのですが、その代わりに、宮崎日大高で指導を続けています」と、今でも指導者としてレスリングに携わっている。自らマットに立つ理由については、「今の学生に、レスリングはいつまでもできることが伝われば、と思ってやっています。今の若者は実際に見せてあげないとね」と笑顔で話す。 決勝で闘う西村さん(赤)
気持ちに加えて練習も十分だった。早朝のランニングと週1回の高校での指導を欠かさず行ってきた。「コツコツ続けてきたことがマットに上がれる理由。若さの秘訣ですよ」と西村さん。日々の練習で、ウエストは大学卒業時と変わらぬ82cmを維持している。「腹が出てない」と自慢のお腹に手を当てた。
同階級は今大会、最年長出場となった78歳の杉田秀夫さん(秋田・体力づくり教室杉田道場)が出場したことで注目を浴びていた階級だ。西村さんより10歳以上も年上の大先輩が出場を見て、「自分もその年になっても出場したいですね」と今後もマットを降りるつもりはない。
「マットが好きだもんね! 今後もマスターズに参加したいです」と生涯レスリングに強い意欲を示した。