2014.12.29

【特集】東京オリンピックめざし、約60人の高校・中学女子選手が合宿

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 全日本選手権の翌日の12月24日から27日まで、東京・味の素トレーニングセンターで恒例の全国高校生エリート合宿が行われ、約60人が2020年東京オリンピックを目指して汗を流した。昨年までは高校生だけの合宿だったが、今年からは中学生が約10人参加し、将来を見据えた合宿。前日までの全日本選手権で優勝した吉田沙保里(ALSOK)、登坂絵莉、土性沙羅、栄希和(以上至学館大)の4選手がコーチ役として参加し、後輩の指導をした。

 昨年の全日本選手権では、高校生で4位以内入賞を果たした選手は2人(2位1人、4位1人)だけで、高校選手の実力低下が懸念されたが、今年は、決勝進出こそなかったものの、高校1年生同士の3位決定戦1試合を含め、7人の高校選手が4位以内入賞。この1年間の若手育成の指導が実った形だ。

 栄和人強化委員長は、最近相次いで亡くなった俳優の高倉健さんや菅原文太さんの映画を引き合いに出し、「狙われる人より、狙う人の方が強い、というシーンがよく映画に出てきていた。スポーツの世界も同じで、チャンピオンよりチャレンジャーの方が強い。また、目標をしっかり持っている選手が、そうでない選手より強い」と話し、明確な目標を持っての努力を要求。

 「向かっていく気持ち、負けても0点で終わらない気持ちを持つように。技術が足りなければ、気持ちで勝つレスリングをやらなければ、強くなれない」と続け、気持ちの重要性を訴えた。

 ジュニアの指導を担当している成富利弘・東京安部学院高監督は「高校生にとっては、壁(全日本チャンピオン)が高いのは分かっている。しかし、だからといってあきらめる気持ちを持たせたくない。まず1点取ることを目標にさせる。スパーリングで吉田から1点でも取れば大きな自信になる。自信の積み重ねが実力をつける」と、一歩一歩の実力養成が大事と話す。

 全日本選手権の翌日にもかかわらず合宿に参加してくれた吉田らの行動に感謝し、「高校生はこのチャンスを生かさなければならない」と強調した

 なお、栄委員長は、全日本選手権の48kg級に29選手もの参加があったことにふれ、来年からの出場資格は、インターハイや全日本学生選手権を優勝者だけにするなどし(今年は3位以内)、出場選手を絞る方針を示した(注=私案であり、強化委員会や日本協会理事会の決定事項ではありません)。

全日程参加し、気持ちの大切さを訴えた栄和人強化委員長

吉田沙保里(右)らコーチ役で参加の選手