2014.12.02

【西日本学生秋季リーグ戦・特集】伝統の“関関戦”を制し、古豪・関学大が77季ぶりに一部へ復帰!

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 今年の西日本学生秋季リーグ戦は、同志社大の49季ぶりの優勝で幕を閉じたが、二部リーグでは、同志社大よりも長いトンネルを抜けた記録が達成された。

 戦後すぐの1946年に創部された関西学院大が5戦全勝で優勝。同リーグは一部最下位チームと二部優勝チームが自動的に入れ替わるので、来年春季は実に77季ぶりに一部で闘うことを決めた(二部優勝は1989年秋季にあり=当時は入れ替え戦があり、名商大に敗れて昇格できず)。

 チームを引っ張ってきた樋口淳三監督は「みんながよくやってくれた。ありがとう、という気持ちです」と声を振り絞ったが、その声は涙のため途切れ途切れ。「菅沼総監督、前監督の渡辺さん、3人のコーチ、OBの皆さん、すべての人の力の結集でこの優勝があったと思います」と、時に目頭を押さえながら喜びと感謝の言葉を続けた。

 西日本学生連盟の会長を務める菅原啓安総監督も「38年ぶりですね。長年の夢が実現しました」と感慨無量。素質のある新人が入部して熱心に練習してくれた成果とし、「まだ強くなります」と、一部定着を期待した。

■“勝っての優勝”を求めた関学大選手

 入れ替え戦によって昇格と降格が決まらない分、一部から落ちてきた大学の実力は二部リーグの中で抜けていることが多い。落ちても、翌シーズンには一部復帰を果たすケースが多く、他の大学が“降格ほやほや”の大学を破って優勝することは、かなり厳しい闘いとなる。

 関学大は昨年の春季・秋季とも3位につけ、今年春季は2位。その時は優勝した“降格ほやほや”の日本文理大に3-4まで迫っており、チーム力は十分についていた。

 今大会では、降格したばかりの関大が壁。関大が1回戦から6-1、6-1、5-2と快調に白星を重ねたのに対し、関学大は初戦の桃山学院大戦を4-3。勝ったものの、スコア的には苦しいスタートで、初日にして関大の優勝が予想される展開となった。

 ところが最終日の4回戦で、関大が帝塚山大に3-4で黒星。関学大が4連勝を飾ったことで、関学大がが然有利となった。最終戦の関大戦で、関学大が勝てば全勝優勝だが、負けても3-4なら総勝利数の差で優勝という状況。2-5でも中身次第で優勝となる。関学大選手のムードは燃え上がった。

 樋口監督は「関大が負けることは予想外でした。(それによって)最後の関大戦に負けても、内容差で勝てることになり、星勘定をしましたが、選手は『全勝で優勝するんだ』という気持ちが強かったみたいです。その気持ちでやってくれたことが、勝利につながったと思います」。選手の“負けての優勝”を拒否する気持ちが、一部昇格の原動力だったと評価した。

■関大2連勝の流れを、1年生の茶圓要が止めた

 関大との試合は、先に2階級を取られ、決していいスタートではなかった。しかし、ここで74kg級の茶圓要(1年)が接戦を2-1で制し、関大へ傾きかけた流れを止めた。樋口監督は「いつもなら、2連敗で気持ちが萎えていたかもしれません。でも、勝つという気持ちがいい方向に出ました」と1年生の踏ん張りを評価。

 続く57kg級は不戦勝なので、チームスコアは2-2となり、優勝までの“マジックナンバー”は「1」。125kg級は取られてしまったが、内容的には決して悪くなく、11-13と最後まで粘った試合。いいムードに押されてマットに上がった70kg級の板場蓮(3年)が、グレコローマンの西日本学生王者、全日本大学グレコローマンでも2位の実績を持つ瀧康真を9-6で破り、この段階で関学大の優勝が決まった。

 最後を締めたのは86kg級の野澤健一主将(4年)。5-0できっちり勝ち、“勝っての優勝”を実現した。樋口監督は「全体として地力がつき、最後まであきらめない気持ちを出してくれました」と選手の踏ん張りをねぎらった。

階級 関西学院大学 試合結果 関西大学
61 谷怜真   Tフォール、2-12 山本翔輝
65 北條陸   7-16 竹本壮志
74 茶圓要 2-1   尾崎薫
57 天河智人 不戦勝    
125 末永渓太朗   11-13 角原克己
70 板場蓮 9-6   瀧康真
86 野澤健一 5-0   河合大輔

 1982年に同大学を卒業した樋口監督は、一部で闘う関学大を経験していない。来年は初めて一部で闘うことになる。「自分たちの時代は、ほとんど二部の2位や3位でした。私たちOBの思いを選手は実現してくれました。次は一部定着に向けて頑張ります」と、新たな誓い。

 菅沼総監督は「本来なら、関関戦(関大と関学大による対抗戦の通称)は一部でやらなければならい試合。お互いに切磋琢磨し、一部リーグで関関戦が実現する日がきてほしい。そうなれば、OBも多く来て盛り上がると思う」と、西日本学生界の初期を支えた両大学による覇権争いの再現を訴えた。

試合中、勝利を祈り、優勝後は涙ボロボロの女子マネジャー

関学大の応援に訪れたOBほか