※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子) 苦手選手を破って優勝した河野隆太(鈴鹿国際大職)
河野が2連覇で笑顔を見せた理由は、決勝で快勝したからではない。2回戦で、過去1度も勝ったことがない曽我部健(日亜化学工業)に4-0のスコアで初勝利を挙げての優勝だったからだ。今年7月の全日本社会人選手権では、初戦で曽我部に0-1の惜敗。上位進出ならなかった。
曽我部は全日本社会人選手権で4連覇するなど実績を持つ選手。河野は、これまで勝てなかった原因として、「グラウンドのローリングが強く。テクニックもある。体つき見たら練習しているのが分かる」と分析。「これまで4、5回対戦して全敗でした」と苦手意識もあった。
河野も27歳になり、ベテランの域に入って負けっぱなしで終わるわけにはいかなかった。「いつも負けて悔しかった。(部活動の監督ながら)試合に出させてもらっているので、勝たないと申し訳ないので、今度こそという思いがあった」と、4カ月ぶりの対決に臨んだ。
曽我部のグラウンド攻撃の強さはわかっていたので、作戦は先手を取ることだった。「スタンドで攻めて先にコーションを取ることができ、ローリングで得点できました」。先手必勝で曽我部のペースを崩して6分間闘い抜いた勝利だった。 決勝で闘う河野
全日本社会人選手権、全国社会人オープン選手権、国体、全日本選手権、全日本選抜選手権など資格がある試合は皆勤賞並みに出場している。「レスリングはルールがよく変わります。そのルールについていくため、そしてそれを指導に活かせるために試合に出続けます」と今後もマットに立ち続けることを宣言した。
鈴鹿国際大の実力は西日本学生リーグ戦の二部リーグで、“これから”のチームだが、河野は「鈴鹿国際大学は、ものすごくスポーツに力を入れている大学です」と、大学あげてのバックアップ体制のもと、レスリング部監督として職務を全うしている。「多くの方に鈴鹿国際大を知ってもらうために、今後も頑張っていきたい」と、選手兼指導者としてレスリングで大学に貢献することを目標に掲げていた。