※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫) 3連覇で大会会長賞を受賞した南條早映(JOCエリートアカデミー)
南條は「3連覇がかかっていたけど、あまり優勝や連覇にこだわらず、自分が持っている力を出せればいいかなと思っていました」と話し、平常心で臨んだことが功を奏したようだ。
決勝の相手は6月の全国中学生選手権と同じ屶網。中盤に場外ポイントで1点を失ったが、自分のペースを崩さずに攻め続けて勝った。大会を通して4試合で失点1。全試合ともフォール、またはテクニカルフォール勝ちで圧勝。試合内容も評価されて、女子の最優秀選手賞に選出され、大会会長賞を受賞した。
これまで輝かしい成績を収めてきた南條だが、優勝者の中から選ばれる最優秀賞などを受賞することは経験がなかった。「(場内アナウンスで)『大会会長賞はJOCアカデミーの~』と呼ばれたとき、(須崎)優衣ちゃんだと思い、まさか自分とは思っていませんでしたので、びっくりしました。そのような賞を今回初めてもらえたのでうれしいです」と、驚きを隠せないようだった。 決勝で闘う南條
アカデミーの吉村祥子コーチは「決して器用な選手ではないけれど、秘めた想いを胸にひたすら努力する姿勢がある。今回の優勝は努力した結果。褒めてあげたい」と称えた。
大阪・吹田市民教室出身で、飛び込みタックルの威力は抜群。だが年齢が上がるほど、タックル前の組み手や前さばきが重要になるのは南條も承知の上で、近年は組み手に力をいれてきた。だが、「試合中は頭が真っ白になって、組み手からのタックルが思うようにできず、くぐりタックルなどを使ってしまった」と反省点もすぐに洗い出した。
「自分の目標は中学で優勝することではないので、この3連覇は通過点。高校に入って、カデットでもシニアでも勝って行けるように、この優勝を次につなげたい」―。大会3連覇の肩書をひっさげて高校に進学する南條が見据えるのは、シニアのステージだ。
昨年の全日本選手権ではJOCアカデミーの先輩、向田真優(東京・安部学院高)が高校1年生で初出場を果たしている。南條も来年は高校1年生。「真優先輩のように来年は出場資格を取って、憧れの全日本の舞台に立ちたい」と更なる飛躍を誓っていた。