2014.11.14

【全日本大学選手権・特集】世界7位の実力を発揮して学生王者を撃破…65kg級・高谷大地(拓大)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)

 全日本大学選手権の65kg級は、9月の世界選手権で7位入賞を果たした高谷大地(拓大)が実力を発揮した。準決勝までの4試合を無失点のテクニカルフォールで勝ち、決勝は全日本学生選手権優勝の池田智(日大)と対戦。1-1、3-3と同点となるシーンもあったが、最後は10-3で突き放した。

 高谷は「絶対に取ってやる、という気持ではなく、練習通りにやることを心がけた。勝ちにこだわって自分のレスリングができなくならないように意識した」と、結果より内容を重視して臨んだ大会だったことを強調。1回戦から自分の目指すレスリングができて勢いに乗れ、決勝は多少もたつきながらも、「最後は思い切ったレスリングができた」と話した。満足のいく優勝だったようだ。

 決勝は第2ピリオド前半まで接戦だったが、「自分のレスリングは、取って、取られて、というレスリング。取られても取りかえせばいいと思っているので、同点にされても焦りもなかった」と、周囲が思うほど“接戦”とは感じてなかったようだ。

 ただ、世界選手権7位の選手として、「どの選手も思い切ってくると思った」と、これまでにない感覚はあったもよう。それでもプレッシャーとなるほどではなく、「こちらも一人の学生選手として思い切りやるだけ。(世界7位の)肩書は気にならなかった」と言う。

 昨年の全日本選抜選手権(60kg級)を制し、今年は65kg級で3月のワールドカップ(米国)5戦全勝をマーク、世界選手権では7位になるまでに成長している高谷だが、学生の大会はこれが初優勝。1年生だった昨年(60kg級)は、全日本学生選手権が初戦敗退、この大会は初戦と敗者復活戦で連敗と、1勝も挙げていなかったという意外な記録が残っている(今年の全日本学生選手権は不出場)。

 本来なら第一関門となるべく学生タイトルの獲得は、今後のさらなる起爆剤になりそう。「レスリングのスタイルだけではなく、食事などの生活面でもいろいろと変えて臨んだ大会でした。それで優勝できたということで、生活面での改善がいい方向につながることを感じました」とのこと。マット上だけでなく、生活のすべてをいい方向へ持っていき、全日本選手権に臨みたいという。