2014.11.13

【全日本大学選手権・特集】日大進学で進化! 階級アップの白井勝太が1年生王者へ

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)

 階級アップに成功し、1年生チャンピオンへ! 全日本大学選手権の86kg級は、8月の全日本学生選手権3位の白井勝太(日大)が、同選手権で負けた村山貴裕(大東大)に2回戦でリベンジに成功。その勢いで決勝へ進み、山梨学院大の亀山晃寛を5-3で破って1年生チャンピオンに輝いた。

 エリート街道を歩んできた白井にとっても、うれしい優勝だった。マットサイドなどにいたチームメートの叫ぶカウントダウンが「0」になると、両手を突き上げてガッツポーズ。喜びを体いっぱいに爆発させた。「大学では自己管理が基本。自分自身の気持ちが一番重要です。食事も自炊しています」と、慣れない環境の中での生活が続いている。だが、「日大に入ったおかげで周囲のサポートがあり、チャンピオンになれました」と話し、先輩や同僚の手助けに感謝した。

 高校では74kg級で活躍。84kg級でもタイトルを獲得したが、「大学では74kg級で闘う」と、ライバルの奥井眞生(現国士舘大)や浅井翼(現拓大)に宣戦布告していた。だが、体の成長などを考え、86kg級への階級アップを決意。この半年間で体を作り上げてきた。

 「体重はまだ減量がない程度しかないのですが、ふだんの体重90kg程度を目指しています」と、体作りの途中にもかかわらず、大学王者の座につく成長を見せた。階級が上になればなるほど日本選手が海外で活躍する可能性は低くなる、という考えが、多くの選手にあるだろう。白井は「86kg級でも日本人が外国選手に勝てるこをと証明したい」と、今では日々のビルドアップに余念がない。

 成長の要因に、技のレパートリーが増えたことがある。「富山(英明)監督を含めていろいろな方から、たくさん技を教えてもらっています」。得意のタックルも、周囲から「うまくなったね」と言われることが多くなった。決勝の亀山戦でも、接戦の試合に風穴を開けたのは、後半に繰り出したタックルだった。

 1年生チャンピオンになって安心するつもりは全くない。むしろ「チャンピオンになって、これからはマークされる。それを考えると、今回の試合内容は反省することが多かった」と話し、勝ってかぶとの緒を締めていた。