※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子) 国体初優勝を飾った井上智裕(三恵海運)
日体大を卒業して、地元で高校教師を務めながら全日本選手権で優勝したことをきっかけに、2016年リオデジャネイロ・オリンピックを目指し、レスリング活動に専念できる“プロ選手”転向した。
しかし、なかなか結果を出せなかった。「スポンサーについてもらってから、成績を残せなくて申し訳なかった」と、昨年の国体は第1シードにもかかわらず初戦敗退。全日本選手権も2回戦敗退だった。
それでも、今年6月の全日本選抜選手権で3位に入り、国体優勝。少しずつ勝負勘を取り戻してきた。「実は、前のピリオド制のほうがやりやすいんです、今のルールは慣れなくて戸惑いもありました」と、これまでの不振の理由を挙げた。以前より体力が必要になるルールに、体力不足を課題に挙げて特訓した。 持久戦に持ち込んで勝った屋比久翔平戦
国体を制したものの今回、井上が出場したのは非オリンピック階級の71kg級だ。「最終的には66kg級に落とす予定です。タイミングはオリンピックの選考方法がはっきり決まってから考えます。北京オリンピックの時のように、前年の世界選手権でメダルを獲得したら代表に内定を出すようだったら、すぐ体重を落とすけど、そうでなければ今年の12月は71kg級で結果を出したいです」と、階級選択は慎重に行う予定だ。
遅かれは早かれ、66kg級に再挑戦する。この階級は、ロンドン・オリンピック60kg級銅メダリストで、9月のアジア大会銀メダリストの松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)など強豪がひしめいている。「チャンスがないわけではないので、頑張りたい」と、国体優勝をステップに全日本の舞台でも活躍を誓った。