※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
【仁川(韓国)、文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫】アジア大会のレスリング競技が9月27日に開幕、男子フリースタイルと女子各2階級が行われ、女子48kg級の登坂絵莉(至学館大)と同63kg級の渡利璃穏(至学館大)が優勝、男子フリースタイル70kg級の小島豪臣(神奈川・中原養護学教)が3位に入賞した。同57kg級の森下史崇(ぼてぢゅう&Bum‘s)は5位。
登坂は、4月のアジア選手権2位のモンゴル選手ら3選手を破って決勝へ進出。昨年の世界選手権51kg級優勝の孫亜楠(中国)と対戦し、5-1で勝って優勝。今月初めの世界選手権に続いての金メダルを獲得した。
9月の世界選手権で1回戦負けだった渡利は、準決勝で世界選手権60kg級優勝のチェレンチメド・スヘー(モンゴル)を破り、決勝で4月のアジア選手権チャンピオンの西洛卓瑪(中国)相手に、ラスト3秒で4-4に追いつき、ラストポイント差で勝利。世界選手権の汚名を返上する優勝を飾った。
小島は、2回戦では4月のアジア選手権優勝のモスタファ・ホセイカニ(イラン)を逆転で下して準決勝に進出したが、世界選手権3位のベクゾド・アブデュラコモノフ(ウズベキスタン)に黒星。しかし、3位決定戦でリン・ハイウェイ(中国)に快勝して銅メダルを獲得。2006年ドーハ大会(銀メダル)に続くアジア大会2個目のメダルを獲得した。
森下は、初戦で昨年のアジア選手権2位のクマール・アミト(インド)をきん差で破って幸先いいスタートを切ったが、準決勝でヨン・ハクジン(北朝鮮)に黒星。3位決定戦ではバドボルド・ノミン(モンゴル)に敗れてメダル獲得はならなかった。
各選手の成績は下記の通り。
![]() 世界選手権に続く優勝を飾った登坂絵莉(至学館大) |
![]() 世界選手権の汚名を返上した渡利璃穏(至学館大) |
◎女子
【48kg級】登坂絵莉(至学館大) 優勝=13選手出場
決勝 ○[5-1]Sun Yanan(孫亜楠=中国)
《試合経過》第1ピリオドの中盤、登坂は30秒のアクティブタイムを課せられたあと、両足タックルで2点。第2ピリオドはテークダウンと場外ポインを奪って5-0とリード。終盤、守りに徹したためコーションで1点を失ったが、5-1で勝利。
準決勝 ○[6-4]Vinesh(インド)
《試合経過》登坂が第1ピリオド、タックルで2点を先制し、グラウンドの攻撃で2点を追加。終盤、タックルをかわされて2失点。第2ピリオド、2点ずつ取り合って6-4。。
2回戦 ○[Tフォール、3:27=10-0] Narangerel Erdenesukh(モンゴル)
《試合経過》登坂は序盤に2点を先制。30秒のアクティブタイムにバックを奪い、アンクルホールドを2度決めて6-0。その後も、ポイントを重ねて10-0のテクニカルフォール勝ち。
1回戦 ○[6-2]Lee Yumi(韓国)
《試合経過》開始早々、お互いに様子を見たが、2分すぎに登坂がタックルで2点を先取。第2ピリオドもタックルで得点を重ね、終盤に持ち上げタックル。これを返されて2点を失ったが、6-2で勝利。
【63kg級】渡利璃穏(アイシン・エィ・ダブリュ) 優勝=14選手出場
決 勝 〇[4L-4]Xiluo Zhuoma(西洛卓瑪=中国)
《試合経過》第1ピリオド、渡利は果敢に攻めてタックルで先制。第2ピリオドの序盤にバックポイントを奪われて同点とされ、中盤にも場外際で投げをつぶされて2-4。終了間際、右腕をロックされて万事休すと思われたが、残り3秒、思い切った片足タックルを決め、4-4のラストポイントの差で勝利した。
準決勝 ○[11-8]Tserenchimed Sukhee(モンゴル)
《試合経過》相手は今月の世界選手権60kg級のチャンピオン。渡利は2点を先制されたものの、1分ごろにタックル+アンクルホールドで3-2と逆転。その後もシーソーゲームの展開となり、渡利が豪快な4点タックルを決めれば、相手もバックポイントを奪って7-6。第2ピリオドも接戦となったが、渡利が着実に得点を重ね、11-8で振り切った。
2回戦 ○[フォール、4:32=12-2] Kim Kyeongeun(韓国)
《試合経過》第1ピリオド、渡利が1分ごろにタックルで2点を奪う。体勢を崩されてバックを奪われるが、2分過ぎに両足タックルで逆転。その後は一方的な攻撃で10点差をつけ、最後はフォールした。
1回戦 ○[Tフォール、2:02=10-0]Chen Wen Ling(台湾)
《試合経過》渡利が序盤に4点タックルを決め、その後もアンクルホールドなどで得点を重ねてテクニカルフォール勝ちした。
◎男子フリースタイル
【57kg級】森下史崇(ぼてぢゅう&Bum'S) 5位=15選手出場
3決戦 ●[3-5]Nomin Batbold(モンゴル)
《試合経過》第1ピリオド後半に、森下が相手のタックルをうまく返して2点を先制。その後、バックポイントで2点を失う。第2ピリオド、3分50秒に、場外ポイントで3-2とリードを奪う。しかしラスト10秒、相手のアタックを受けてしまい、3-4と逆転されて試合終了。日本陣営は、森下のタックル返しが有効だとチャレンジするが、失敗に終わって3-5となった。
準決勝 ●[2-4]Jong Hakjin(北朝鮮)
《試合経過》静かな立ち上がりで、北朝鮮にアクティブタイム。30秒をしのいだ森下に1点が入る。その後、片足タックルでテークダウンを奪われて1-2とリードを許して折り返し。第2ピリオド、4分半ごろに森下が場外ポイントで2-2とするが、ビッグポイント差で負けている状況。最後はがぶり返しを狙ったが、抑えられて2-4とされてしまった。
2回戦 ○[6-0] Ramil Rejepov(トルクメニスタン)
《試合経過》開始2分ほど互いに見合ってアクションはなし。その後、森下が相手を落としてバックを取り、ローリングの連続技で5-0。第2ピリオド、場外ポイントを追加して6-0で終えた。
1回戦 ○[2C-2]Kumar Amit(インド)
《試合経過》全体的に消極的だったモンゴルが第1ピリオドの1分半すぎにアクティブタイムを受ける。得点できなかったため、森下に1点。終盤、インドが攻撃を仕掛けるが、森下はうまく場外に出てテークダウンを逃れる。第2ピリオドは、第1ピリオドの逆の展開となり、場外ポイントで1失点した森下だったが、後半、インドに課せられたアクティブタイムで1点を追加。2C-2でアジア選手権王者を破った。
【70kg級】小島豪臣(神奈川・中原養護学教) 3位=12選手出場
3決戦 〇[8-0]Ling Haiwei(凌海威=中国)
《試合経過》開始1分過ぎに、小島がスタンドから相手の足を払って4点。組み手をうまく使って前に出続けた小島は、第2ピリオドもテークダウンを2度決めて8-0とし、銅メダルを獲得した。
準決勝 ●[0-6]Bekzod Abdurakhmonov(ウズベキスタン)
《試合経過》小島は第1ピリオド、アクティブタイムで失点。2分すぎには、タックルからアンクルホールドを受け、場外ポイントで6失点。第2ピリオド、巻き返せなかった。
2回戦 ○[3B-3] Mostafa Hosseinkhani(イラン)
《試合経過》第1ピリオド、小島がアクティブタイムで1失点。第2ピリオド、相手の圧力に屈して2度場外に出てしまい0-3。だが、終盤にタックルなどを決めて3-3とし、ビッグポイントの差で強敵を下した。
1回戦 ○[3-2]Parveen Rana(インド)
《試合経過》第1ピリオドインドにアクティブタイムが課せられて、小島が守って1点を先制。第2ピリオドの前半にタックルを受けて2点を失ったが、小島はアクティブタイム中にタックルを決めて3-2と逆転勝ち。