2014.09.27

【全日本大学グレコローマン選手権・特集】「初日の好成績にも気をゆるめなかった」…拓大・高谷惣亮コーチ

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(撮影=山内猛)

 全日本大学グレコローマン選手権の大学対抗得点は、初日に45点をマークし、2位に21点の差をつけた拓大が、最終日も順当に得点を伸ばし、2年ぶり10度目の優勝を遂げた。

 2年前の優勝は、初日を終わった段階でトップの日体大に18点差をつけられ、絶望的だった中からの逆転優勝だった(当時は最終日に3階級を実施)。今年は初日に独走できたが、3位に位置していた日体大が最終日に強豪を擁していたので、もたついたら逆転された可能性もあった。

 結果は2階級で決勝へ進み、うち1階級で優勝。2位に浮上した日体大に10点以上の差をつけての団体優勝だった。

 西口茂樹部長はアジア大会のため、須藤元気監督は仕事のため、ともに不在。指揮をとった高谷惣亮コーチは「優勝を目指してやってきたが、正直なところ、何が何でも結果は求めていなかった。出る選手に、『こういうことをやるように』と伝え、選手がどうやってくれるかを見た」そうで、「みんな臆することなく、前へ、前へと出てくれて結果を出してくれ、よかったです」と言う。

 周囲からは、初日を終えた段階で「優勝おめでとう」などと言われたという。しかし高谷コーチは「そんなことは考えていなかった。選手には『日体大は絶対に優勝を狙ってくる。ここで気を抜いたら、足元をすくわれる』と伝えて臨みました」とのこと。「最終日の選手も期待にこたえてくれました」とうれしそう。

 80kg級の前田祐也と130kg級の園田新の優勝は計算できただろうが、66kg級の堀後雄太と85kg級の岡嶋勇也には、優勝までは求めていなかったのが現実だろう。「勝ち負けにこだわるな、点数にこだわるな、と言ってきた。本人たちも『できることだけをやろう』という意識だったと思う。その気持ちを試合に出せたのが勝因だと思う」と振り返った。

 優勝が決まると、すぐに韓国にいる西口部長のもとへ連絡を入れ、喜んでくれたという。日本代表チームの指揮官を務める西口部長は、最高の気分でアジア大会に臨んでくれることだろう。