※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
《オリンピック・世界選手権 国別メダル獲得数》=男子フリースタイル / 男子グレコローマン / 女子
2014年の世界選手権が終わり、今年までのオリンピックと世界選手権の国別のメダル獲得数を集計してみた。1896年アテネ・オリンピック(この時は男子グレコローマンのみ)以来の3スタイルのオリンピックと世界選手権の金メダル数で、日本は129個となり、ソ連・EUN・ロシア(432個)続いて第2位となっていることが分かった。3位は米国の105個。
■オリンピック・世界選手権の金メダル獲得数
No. | 国 名 | 総数 | 男子フリー | 男子グレコ | 女 子 | |||
オリ | 世界 | オリ | 世界 | オリ | 世界 | |||
1 | ソ連・EUN・ロシア | 432 | 45 | 168 | 47 | 166 | 1 | 5 |
2 | 日 本 | 129 | 17 | 22 | 4 | 3 | 7 | 76 |
3 | 米 国 | 105 | 49 | 36 | 3 | 5 | 0 | 12 |
4 | ブルガリア | 76 | 7 | 22 | 9 | 33 | 0 | 5 |
5 | ト ル コ | 74 | 17 | 28 | 11 | 18 | 0 | 0 |
■オリンピック・世界選手権のメダル獲得数
No. | 国 名 | 総数 | 男子フリー | 男子グレコ | 女 子 | |||
オリ | 世界 | オリ | 世界 | オリ | 世界 | |||
1 | ソ連・EUN・ロシア | 693 | 87 | 168 | 88 | 283 | 4 | 63 |
2 | 米 国 | 350 | 110 | 126 | 15 | 30 | 4 | 65 |
3 | ブルガリア | 317 | 34 | 125 | 32 | 113 | 2 | 11 |
4 | 日 本 | 290 | 39 | 68 | 12 | 20 | 11 | 140 |
5 | ト ル コ | 217 | 36 | 81 | 22 | 77 | 0 | 1 |
※ソ連・EUN・ロシアには、旧制ロシアは含まず。EUN=ソ連が解体されたあとの1992年バルセロナ・オリンピックに、バルト3ヶ国を除いて出場した旧ソ連の名称。そのあとは13の国の国内オリンピック委員会が認められ、各国が参加している。
1987年に世界選手権がスタートした女子の大量リードによるもので、女子のオリンピックと世界選手権における金メダル獲得数は、今年の世界選手権の4個を足して83個(オリンピック7個、世界選手権76個)。2位が中国の27個(オリンピック2個、世界選手権25個)で、今回の世界選手権を終えて、2位に3倍の差をつける“トリプルスコア”の数字となった。
2位~5位の4ヶ国の金メダル総数が72個だから、これよりも上。「4ヶ国が束になってもかなわない」という状況だ。
金メダルに限らず「メダル」とすると、ソ連・EUN・ロシア(693個)、米国(350個)、ブルガリア(317個)に続き、290個で4位。イランは女子が「0」で、トルコは「1」など、女子で数字を伸ばしていないため、全体の数字が低くなっている。
女子に関すれば151個(オリンピック11個、世界選手権140個)で、米国の69個、ソ連・ロシアの67個、中国の64個を押さえてトップ。2位の米国にもダブルスコアをつけている。
ただ、世界的に見ればこうした日本独占状態は好ましいことではない。レスリング界にとって忘れることのできない2013年2月の国際オリンピック委員会(IOC)理事会で論議されたオリンピック競技からの除外競技の候補に、卓球とバドミントンという中国がずば抜けて強い競技が挙がっており、両競技団体ともIOCの動きを警戒していた。
レスリングが除外候補となった時、その一因として、東欧とアジアの強さが目立ち、西欧、オセアニア、アフリカのメダル獲得が少ないことがあるのでは、と言われた(特にIOCの勢力が強い西欧は、フランス、トルコ、スペインの各1だけ)。1ヶ国が強すぎると、世界的な競争力や関心度が低下して普及に影響し、しいてはオリンピック競技としての適性を論じられてしまう。
《ロンドン・オリンピックの大陸別メダル獲得数》=カッコは金メダル数 東欧=34(7)、北西欧=5(0)、アジア=22(8)、北中南米=10(3)、アフリカ=1(0)、オセアニア=0(0) |
女子レスリングの世界のリーダー・日本は、勝つこととともに、女子レスリングを世界に広めることへの努力もしなければならない。