※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
■吉田沙保里の2014年世界選手権成績 決 勝 ○[6-0]Sofia Magdalena Mattsson(スウェーデン) 準決勝 ○[フォール、0:49=5-0]Jillian Alice Gallays(カナダ) 3回戦 ○[Tフォール、5:17=10-0]Natalia Malysheva(ロシア) 2回戦 ○[フォール、2:41=4-0]Pang Qianyu(中国) 1回戦 BYE |
(撮影=保高幸子) 15度目の世界一に輝いた吉田沙保里(ALSOK)
吉田 何度取っても気持ちいいものだな、と感じますが、今年は何としても負けらない大会でした。新階級のことと、亡き父にいい報告がしたかったという気落ちが強かったからです。今までとちょっと違った世界選手権でした。勝ってホッとしています。
――新階級についてからお聞きします。手探りの部分もあったと思いますが、初めての53kg級ということがいかがでしたでしょうか。
吉田 階級が軽くなった分、もう少し動きが早かったり、パワーがないのかな、と思っていましたが、パワーも感じましたし、動きと両方あったので、リオデジャネイロ・オリンピックまで気が抜けないと感じました。これまで以上に研究し、体力づくりをしたい。
――3月11日に父を亡くされ、ちょうど半年です。
吉田 月命日だということを(応援に来ていた)母と話しました。優勝していい報告したい、金メダルを見せる、と話しました。
――金メダルを取って、父にはどんな報告をしたいですか?
吉田 やったよ、と。1回戦から、父の写真をさわって「行ってくるよ」と話しかけていました。決勝は「見てく」と話してマットに上がりました、きちんと見ていてくれたと思います。
――決勝は慎重になったように見えましたが。
吉田 そうですね。30秒ルールを宣言されて、攻めなければならないところになってから攻めましたね。そうされると(30秒ルール)覚悟が決まるので、パーと行けるんです。まあ、肩を痛めていたということもあるし、相手も私が入ってきたところを切ってバックとか、がぶって牛殺しとかを練習していたので、ちょっと怖かった部分はあるのですが、いざとなったら絶対に取らなければならない。覚悟が決まったので、確実に勝ちたいという思いでいきました。スパーリングだったら、もっとタックルに入って差をつけられると思いますが、試合は試合。指名スパーリングとか、練習試合とか、試合形式の練習を(全日本チームで)やってくれたのは助かりました。いつも緊張感をもった練習をすることが大切だと思います 変わらぬ強さで4試合を勝ち抜いた吉田
吉田 う~ん。研究してきたとは思います。相手は(自分の)タックルをかわすしかなかったと思う。その中でも、タックルで取れたということはよかった。相手の攻撃力はすばらしいものがありますが、そこを0点に抑えられたのはよかったと思います。テクニカルフォールやフォールができるようになれば最高だなと思います。
――肩の状態は?
吉田 筋ですかね。カナダ戦でフォールにいった時に、その時は痛いと思わなかったのですが、終わってから痛めたことを知りました。試合にはさほど影響しませんでした。
――登坂選手が連覇し、浜田選手という新しいチャンピオンが生まれましたが、日本レスリング界を引っ張る立場として、頼もしい後輩に一言。
吉田 若い子たちも世界チャンピオンを取ったことはいい刺激です。追われる立場として負けられないという気持ちになりました。収穫のあるいい世界選手権でした。
――リオデジャネイロまでの道のりが見えてきましたか?
吉田 日本で若手がどんどん出てきました。浜田選手も(55kg級で)優勝して、階級を落としてくると思うし、日本での代表争いが厳しくなると思うけど、日本で勝てば外国でも、オリンピックでも勝てると思うので、史上初の4連覇向けて、リオデジャネイロに向けて頑張りたいと思います。
――その前にアジア大会(55kg級)がありますが。
吉田 体重を増やし、肩を治して頑張りたいと思います。
――上積みしたいことは?
吉田 今すぐには分かりませんが、それを感じながら、アジア大会とかもやっていきた。北朝鮮とかいろんな若手が出てきて、いろんな相手とできたことはよかった。毎回同じ相手とやっていても仕方ない。やったことのない相手とやれたことがすごくよかったと思います。