※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
■鈴木聖二の2014年世界選手権成績 1回戦 ●[0-6]Baran Radoslaw(ポーランド) ※敗者復活戦へ回れず |
(撮影=保高幸子) 健闘空しく初戦敗退に終わった鈴木聖二(岐阜・岐阜工高職)
鈴木 組み手やいなしは、前半はうまく効いていると思った。自分が先にアタックしていれば展開が違ったと思う。後半、タックルにも入れたけど、テークダウンまでいかなかったのが力の差だった。
――初の世界選手権で緊張は?
鈴木 開始から2試合目で、緊張する間もなくマットに上がった。上がってみたら、興奮して気持ちが浮いてしまい、足が地についていないような感覚だった。1分くらい経った時にセコンドの「フェイントを使え」という声で少し我に返り、崩しとかを使えた。最初の1分でそれができれば、ちょっと違った結果になったかもしれない。
――収穫は?
鈴木 体重差、体力差があったけれど、それほどプレッシャーは感じず、タックルで脚にさわることができ、テークダウンできる感触があった。速さを身につけていけば、自分より体重の重い選手相手にもやっていけるという感触を得た。
――そのタックルはうまい具合に入ったと思うが、取れなかったのは何が原因なのか。
鈴木 相手の脚が重かったこともあるが、外国選手特有の粘っこさだと思う。きのう対戦することが決まり、夜はビデオ研究した。8月のポーランドの国際大会で2位に入っている選手で、自分から攻める選手ではなく、守ってバックを取る選手。そうそう攻めてこないと思ったので、要所でしっかり狙う作戦だったが、先に取られてしまったのが失敗。2分間こらえれば、という気持ちが守りに入ってしまった。前半からタックルにいく展開をすれば、違ったと思う。
――勤務の関係もあって練習が大変だったと思うが、代表に決まってからの2ヶ月半は満足いくものだったか?
鈴木 多くに人の支えてもらって、しっかりできたと思います。自分はあまり感動するタイプではないのですが、試合が終わった時、泣いてしまいました。ここまで支えてもらったのに、1勝もできなかったことが悔しくて…。最低でも点数を取りたかった。かみついてでも取りにいくべきだった。勝つことで感謝の気持ちを表したかった。本当に、久しぶりに悔しい思いをしました。
――どんな人からどんなふうに支えてもらいましたか?
鈴木 一番大きいのは職場の方です。もう新学期で授業も始まっています。そんな中でも文句も言わずに皆さんが笑顔で送り出してくれました。結果で返したかった。仕事の面でも恩返ししていかなければならない。
――今後、悔しさを晴らしていく気持ちは?
鈴木 当然です。海外でもっと試合をしたい。そのためには日本で勝たなければならない。気持ちに火がつきました。山口選手(剛=けがで戦線離脱中)が帰ってくるので、まず山口選手に勝てることを目標に頑張りたい。
――地元で練習するのか?
鈴木 はい。練習のために東京に行くことはないでしょう。岐阜に根をおろしてしっかり練習したい。高校の選手にもいい影響を与えると思う。
――帰ってから選手に伝えることは?
鈴木 選手に対して厳しいタイプではないので(笑)、くだけた言い方しかできないかもしれませんが、「世界の壁は厚い」と伝えます。