※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
■高谷惣亮の2014年世界選手権成績 決 勝 ●[2-8]Denis Tsargush(ロシア) 準決勝 ○[3-1]Jumber Kvelashivili(グルジア) 3回戦 ○[4-0]Murad Gaidarov(ベラルーシ) 2回戦 ○[Tフォール、4:42=15-2]Livan Lopez(キューバ) 1回戦 ○[Tフォール、2:18=12-2]Ramazan Kambarov(トルクメニスタン) |
(撮影=保高幸子) 準決勝でグルジア選手を破り、決勝進出を決めた高谷惣亮(ALSOK)
高谷 率直にうれしいです。その一言です。ロンドン(オリンピック)で初戦敗退して、直後のインタビューでは強気なことを言いましたが、心の中では「絶対に強くなる」という気持ちでした。去年は7位で、「まだ足りない、どうしたらいいんだろう」と研究し、自分の体も改造してやっとここまで来られたので、このメダルは価値あると思います。
――金メダルを取れなかった悔しさの部分は?
高谷 悔しくもありますよ。120パーセントの悔しさです。日本を出発する前、「メダルがほしい」ではなく、「金メダルがほしい」と言ったんです。やっぱり金がいい。
――うれしくもあり、悔しくもある、と。
高谷 そうですね。ラスベガス(来年の世界選手権)、リオデジャネイロと、弟とともに頑張っていきたい。
――決勝での作戦は?
高谷 対策というより、自分のベストを出すと決めていた。相手がどんなレスリングをしてきても、ボクのレスリングを出すだけと思っていた。スタイルは貫き通せたけど、処理の遅さとかがあり、(相手は)日本人にはないくねくねした軟体動物みない対処をしてくるので、それにを自分の体に慣れさせていきたい。
――最初タックルを返されて2点を失いましたが、それでもタックルを仕掛けていったのは、どんな気持ちでしたでしょうか。
高谷 昔のことがフラッシュバックしましたね。入って返されたことが。恐怖心はありましたが、こんなのにびびっていたらオリンピックでは金メダルを取れないぞ、「行け! 行け惣亮!」と鼓舞させて、「おまえにはタックルしかないんだ」と思って攻め続けました」
――去年の男子はメダルがなく、今大会の初日もメダルなし。そういう流れの中で出場する状況についてはどうでしたか?<br> 高谷 キャプテンとしてやってきましたし、高橋(侑希)が取れなかったのは残念でしたが、取れなかった分、高谷家の出番だ、という感じで、逆に燃えてきました。
――自分の成長を試してみたい、と言っていましたが、そのあたりは?
高谷 18歳の世界ジュニア選手権で(チャーグシュと)やった時は何もできずにボコボコにされた相手です(当時のピリオド制のルールで0-2=0-5,0-6)。ここまでできたのは、自分を褒めてやりたい。タックルで何回も(脚を)さわれて、そのたびにあと一歩取れなかったわけですが、あれが取れていれば勝てたわけです。入ったあとの処理の能力をもっと上げていきたい。 2回戦でロンドン・オリンピック3位(66kg級)の選手を撃破した高谷
高谷 入ったあとの処理ですね。確実にポイントにつなげられるようにしたい。
――ジョーダン・バローズ(米国=ロンドンをはさんで2011~13年に世界一)と反対のブロックだったわけですが、バローズを含めた自分の立ち位置は?
高谷 バローズとも2回やっていますが、競った試合でした。お互いにタックルの取り合いなって。まだ勝っていないので、「オレの方が強い」という大胆なことは言えませんが、結果として2位になったので、胸を張って「おまえと闘えるぞ」というアピールになったと思います。
――この銀メダルで、周囲からは研究されると思いますが。
高谷 研究されても、ボクはボクのレスリングを貫き通すだけです。
――しばらくは今回のタックルの入り方をやっていきますか。
高谷 今のタックルの入り方は3週間前からやったものですが、うまくはまりました。未知数の部分があったのですが、自信になりました。
――応援席から大きな声がとんでいましたが、聞こえましたか?
高谷 弟ですか? 聞こえました。
――何言われていたかまで聞こえましたか?
高谷 「行けるぞ!」とかいう声だったと思います。
――聞こえるものですね。
高谷 家族ですからね。
――弟は最終的に7位だそうです。
高谷 そうですか、去年のボクと同じですね。
――世界選手権に初出場で7位というのは兄弟で同じですね。
高谷 ということは…(笑)。来年は2人で確実に金メダルを取りたい。