※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
FILA理事に当選した富山英明氏と当選を支えた福田富昭会長
国際レスリング連盟(FILA)は9月8日、世界選手権が開催されるウズベキスタン・タシュケントで総会を開き、ネナド・ラロビッチ会長(セルビア)の再選を決めるとともに、「FILA」から「UWW」に変更することを決めた。
6人の理事の任期満了ほかに伴って空いた理事選挙を行い、日本協会から立候補していた富山英明常務理事(日大教)は2回目の投票で当選した。しかし、通常の6年任期ではなく、ネナド・ラロビッチ会長が会長に再任されたことによる残存期間の4年間の理事となる。
日本は1972年に笹原正三前会長が理事選に当選し、1996年まで理事へ。同年の理事選で福田富昭・現会長が当選し、現在まで42年間にわたって守ってきたFILA理事のポジションを死守した。
《選挙の過程》
今季で任期切れとなる理事は6人。空いた6枠のうち女性枠が1人で、これはマリア・ペリコネ(イタリア)が唯一の立候補だったことで、拍手によって信任された。したがって、選ぶ理事は5人。ここに、ネナド・ラロビッチ会長(セルビア)がラファエル・マルティニティー会長の残り任期を終えて会長になったことにより、残り4年任期を務める理事1人と、今年1月に死去されたペリコーン氏(イタリア)の残り2年の任期を務める理事1人の計7人の枠が争われた。
立候補者は20人で、女性枠に当選したペリコーン氏と、イラクの代表が立候補を辞退し、18人が7枠を目指して闘った。
第1回投票の上位は下記の通り。
MAMIASHVILI, Mikhail(ロシア) 87票
RUZIEV, Akhroldjan(ウズベキスタン) 86票
TZENOV, Tzeno(ブルガリア) 71票
GAMA FILHO, Pedro(ブラジル) 62票
富山英明(日本) 48票
タシュケントで行われたFILA総会。
富山常務理事は5位だったものの、過半数を獲得していないため当選とはならず、3人が当選となって第2回の投票へ。これは過半数に限らず上位順から当選することとし、下記の結果となった。
GAMA FILHO, Pedro(ブラジル) 63票
DITTMANN, Karl-Martin(ドイツ) 44票
富山英明(日本) 37票
MESKOUT, Fouad(モロッコ) 37票
(以下、省略)
この結果、上位2人は6年任期の理事に当選。富山常務理事はフォウアド・メスコーチ(モロッコ)と同数で3位へ。1回目の投票が多かった 富山常務理事が4年任期の理事に決定し、メスコーチが2年任期の理事となった。
なお、モンゴル協会の会長で大相撲の元横綱朝青龍は、第1回、第2回とも票が伸びず、当選はならなかった。
■富山英明・常務理事の話「とりえず理事の伝統を守れてよかった。福田会長が築き上げた信頼と人脈のたまものだが、それ以外にも日本協会からターニャ古賀さん、土方政和常務理事、伊藤広道君(自衛隊前監督)ほか大勢の人が来てくれ、各国の役員にアピールしてくれたおかげだと思う。
今後のことは、まだ考えていない。(理事がいなくなって蚊帳の外に出されたような国際柔道連盟を引き合いに出され)情報が早く入ってくるのはいいことだと思う。階級、ルールなど発言できるのはよかった。東京オリンピックを控えているし、会長が築き上げたものを引き継ぎ、4年後にまた当選できるよう頑張りたい」
■福田富昭会長の話「世代交代をして東京オリンピックを迎えるため、(自分が辞任するという)危険な勝負に出た。若い人間を育てるには、このタイミングしかなかった。FILAの中で発言力を持つためにも、落ちることは避けたかった。東京オリンピックへの下地を富山にしっかりつけてもらいたい。(選挙前の予想通りロシア、ウズベキスタン、ブルガリアが第1回灯標で当選)ロシア勢が固まっているのは怖い」