2014.08.31

【全日本学生選手権・特集】宿敵にラスト1秒で逆転! 4連覇を達成…女子48kg級・入江ゆき(九州共立大)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 全日本学生選手権の女子で最も注目された階級、女子48kg級は入江ゆき(九州共立大)が勝ち、女子で大会史上3人目となる4連覇を達成した。準決勝で、昨年の全日本選手権51kg級チャンピオンで、今月の世界ジュニア選手権でも優勝した宮原優(東洋大)をラスト1秒で逆転。6月の全日本選抜選手権で負けた雪辱も果たし、最高の形で学生の大会を締めくくった。

 試合後の入江は「内容は全然ダメでした。どの試合も動けていませんでした」と喜びはなし。最近、体重がやや増えていて、減量の影響で動きが悪かったようだ。しかし、4連覇に言及されると「結果としては、うれしいです。勝ち続けることは難しいと思うので、その面ではよかったです」と、少し笑みがこぼれた。

 ヤマ場は宮原との準決勝だった。この大会に関しては自身がデフェンディング・チャンピオンだが、宮原は昨年まで1階級上の選手であり、世界選手権にも出場。全日本チャンピオンにもなっている。2ヶ月前に負けていることもあり、「自分がチャレンジャーの気持ちでした」と言う。

 2-4とリードされ、そのあと、なかなかポイントが動かない。宮原の逃げ切りか、と思われたラスト10秒くらいに入江が横からのタックル。宮原の左脚が入江の脚にからまり、もつれた状態のまま最後に入江のテークダウンが認められて2点が入った。

 宮原陣営のチャレンジによるビデオチェックでも判定は変わらず、入江の勝利。リードされて試合が進みながらも、「まだ時間はあるから、チャンスはあると(自分に)言い聞かせた」と言う。あと30秒くらいの時、「もうじっくり攻められない。取りにいくしかない」と覚悟を決めて逆転を狙い、この姿勢が当たった。

 「もっと自分から攻め、ポイントを取られないようにしたいです」と反省はあるものの、勝利への執念を行動へ移せたのは見事と言うべき粘りだった。しかし、「ばてていたので、もっと体力をつけないと、次はこうはいきません」と、厳しい課題を挙げた。

 先月のゴールデンGP決勝大会(アゼルバイジャン)では、2012年ロンドン・オリンピック2位で、現在の国際レスリング連盟(FILA)ランキング1位のマリア・スタドニク(アゼルバイジャン)と対戦。1-12のテクニカルフォールで敗れた。

 それでも、「ポイントを取られ、吹っ飛ばされもしましたが、超えられない相手ではないとも思いました」と振り返り、今後に向けての手ごたえは感じた。足りないところは、やはり体力。パワー、スタミナをつけて次の対戦を迎えたいところだが、当面の目標は国内のライバルである登坂絵莉(至学館大)。

 「全日本選手権では勝てるよう、頑張りたいと思います」と、学生V4をステップに、打倒登坂へ向けての闘いへ向かう。