2014.08.28

【全日本学生選手権・特集】2年ぶり2度目の優勝! アジア大会へ弾みをつけた嶋田大育(国士舘大=男子フリースタイル86kg級)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)

 強い嶋田が戻ってきた! 全日本学生選手権(インカレ)の男子フリースタイル86kg級は、2年前の74kg級学生二冠王者(全日本学生選手権、全日本大学選手権)で、今年のアジア大会74kg級代表の嶋田大育(国士舘大)が、初戦で昨年84kg級2位の亀山晃寛( 山梨学院大)を破り、決勝で村山貴裕(大東大)をテクニカルフォールで下して優勝。2年ぶり2度目の優勝と最後のインカレでの有終の美を飾った。

 今季は9月に世界選手権とアジア大会があり、学生で代表に選ばれた選手の多くが、インカレを欠場した。嶋田も大会直前まで教員採用試験などがあり、一時は欠場の二文字がよぎったそうだ。しかし、9月8日からの世界選手権に比べると、27日からのアジア大会までは時間がある。「昨年はけがで欠場していましたし、(アジア大会に向けて)自分の中で課題もありましたので、アジア大会のプレ大会だと思って参加しました」と、インカレへのこだわりを見せた。

 教員採用試験のため減量ができない状況だったため、階級は74kg級ではなく86kg級で挑んだ。だが、12kgの違いは、さすがの嶋田もてこずったようだ。「初戦からタックルに行ったけれど、思った以上に相手が吹っ飛ばなかった。逆につぶされたりした」と振り返る。相手もスタミナがある第1ピリオドは嶋田の攻撃が通用しない場面が多かった。

 初戦の亀山戦以上に嶋田が苦戦したのは、準決勝の松坂誠應(日体大)戦だ。第1ピリオドはすべて返し技などを受けて失点し、第2ピリオドの序盤で0-8と追い込まれた。「さすがにやばいな」と思ったそうで、窮地に立たされたが、「根気強く1つずつ取っていけばいいと思った」と攻撃の手をゆるめず前に出て、第2ピリオドの中盤からはタックルをていねいに積み重ねて8-8のラストポイントによって逆転勝ち。決勝への弾みをつけた。

 今大会、チームをまとめる和田貴広監督は全日本合宿のため不在。チームの柱は主将の嶋田がまとめた。前日に和田監督から「ひとつになって闘ってこい」と言われ、大会初日の試合前には国士舘大のメンバー全員で円陣を組んだ。団体戦ではよく見かける光景だが、個人戦ではあまり見かけない。嶋田は「国士舘はチーム力で勝つチームなので」と、団体戦の気持ちで闘った。

 このあと全日本合宿に直行する予定で、休む間もない。だが、嶋田はやる気に満ちていた。「今回、優勝したけど、内容はよくなかった。脚を取られる場面など2年前と同じ反省点が残りました。全日本合宿でこれを克服し、アジア大会で優勝したい」。インカレをステップにアジア大会でも表彰台の頂点を狙う。