※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)
アジア大会前の実戦練習を兼ねて出場した最後のインカレで見事優勝の嶋田大育(国士舘大)
今季は9月に世界選手権とアジア大会があり、学生で代表に選ばれた選手の多くが、インカレを欠場した。嶋田も大会直前まで教員採用試験などがあり、一時は欠場の二文字がよぎったそうだ。しかし、9月8日からの世界選手権に比べると、27日からのアジア大会までは時間がある。「昨年はけがで欠場していましたし、(アジア大会に向けて)自分の中で課題もありましたので、アジア大会のプレ大会だと思って参加しました」と、インカレへのこだわりを見せた。
教員採用試験のため減量ができない状況だったため、階級は74kg級ではなく86kg級で挑んだ。だが、12kgの違いは、さすがの嶋田もてこずったようだ。「初戦からタックルに行ったけれど、思った以上に相手が吹っ飛ばなかった。逆につぶされたりした」と振り返る。相手もスタミナがある第1ピリオドは嶋田の攻撃が通用しない場面が多かった。
決勝で闘う嶋田。2点を失いながらもテクニカルフォール勝ち。
今大会、チームをまとめる和田貴広監督は全日本合宿のため不在。チームの柱は主将の嶋田がまとめた。前日に和田監督から「ひとつになって闘ってこい」と言われ、大会初日の試合前には国士舘大のメンバー全員で円陣を組んだ。団体戦ではよく見かける光景だが、個人戦ではあまり見かけない。嶋田は「国士舘はチーム力で勝つチームなので」と、団体戦の気持ちで闘った。
このあと全日本合宿に直行する予定で、休む間もない。だが、嶋田はやる気に満ちていた。「今回、優勝したけど、内容はよくなかった。脚を取られる場面など2年前と同じ反省点が残りました。全日本合宿でこれを克服し、アジア大会で優勝したい」。インカレをステップにアジア大会でも表彰台の頂点を狙う。