※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
世界選手権前最後の合宿がスタート
グレコローマンの一部の選手も、9月1日からの合宿を前に同所で汗を流した。
和田貴広・男子フリースタイル強化委員長(国士舘大教)は「今回の合宿の目的は試合を意識したスパーリング。量も大事だが、いかに試合に近いスパーリングをやるかが大事。一本ずつ全神経を集中してやってほしい」と、実戦に即した練習をリクエスト。
世界選手権の代表は、中日(31日)以降は体重調整を含めた調整練習になるが、それまでは「けがを注意しつつ、しっかり追い込んでほしい」と言う。アジア大会代表選手には、「(まだ試合まで日にちがあるので)調整ではなく、最後までしっかりと強化に徹してほしい」と伝えた。
今月初めのポーランド遠征から帰国したあと、選手は各所属での合宿を積んできた。田南部力コーチ(警視庁)はこの日の選手の動きを見て、「しっかり練習してきたことがうかがえる。代表選手同士の練習も積極的にやっていた」と、選手の心身の充実ぶりを評価。2番手選手が世界選手権に行く階級もあるが、「日本のトップだという気持ちで闘ってほしい」と望んだ。
■昨年の世界王者参戦で燃える初出場の高橋侑希(山梨学院大)
先陣を切って初日に闘う57kg級の高橋侑希(山梨学院大)は「今までの練習を出すだけ。けがをせず、万全の状態で臨みたい」と気合を入れる。出場予定の外国選手のビデオ研究も進めていて、「(昨年の)55kg級世界王者のイラン選手が出場するという情報も入りました。挑戦者として胸を借りるつもりで思い切って闘います」と、日々気持ちが盛り上がっている様子。
松永共広コーチの技術指導
この日から岐阜市で全日本学生選手権(インカレ)が始まったが、高橋はエントリーせず、世界選手権へかけた。まだ学生のタイトルを手にしていないだけに、ほしいタイトルではあるが、「二兎を追う者は一兎も得ず、ということわざがありますし、初めての世界選手権にかけました」とのこと。
4年生となる来年の世界選手権も同時期に予定されており、世界選手権代表となれば同じように不参加となるだろう。学生王者になることなく卒業ということも考えられるが、「学生のタイトルより世界ですよ」ときっぱり。来年もインカレに出るつもりはなく、リオデジャネイロへ思いを馳せた。
今回の合宿には2月に右ひざを負傷して戦線を離脱していた98kg級の山口剛(ブシロード)の姿もあった。昨年の世界選手権96kg級で8位に入賞し、重量級の期待の星だっただけに、本人も周囲も残念な思いだったが、手術を経て全日本チームの練習に戻ってきた。
「まだ打ち込みだけ。攻防の練習はきついので、あと2ヶ月は打ち込み中心にやっていく予定です」とのことだが、「全日本の雰囲気は、懐かしく、頑張ろうという気持ちになりますね」と気持ちよさそう。「オリンピック予選はまだ先。来年までにはデータがしっかりそろっているでしょう」と、この時期は他選手を十分に研究する時期とも考えているという。
試合復帰は12月の全日本選手権が目標だが、「まだ完全に戻ってはいないと思います。来年6月(全日本選抜選手権)がピークになればいい」と、焦らず実力を戻していく予定という。