2014.08.27

男子フリースタイルの全日本チームが合宿スタート

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 男子フリースタイルの世界選手権(9月8~14日、ウズベキスタン・タシュケント)とアジア大会(9月27日~10月1日、韓国・仁川)の代表選手を含む全日本チームが8月26日、東京・味の素トレーニングセンターで合宿をスタートした。9月2日まで合宿を続け、3日に世界選手権代チーム第1陣としてウズベキスタンへ向かう。

 グレコローマンの一部の選手も、9月1日からの合宿を前に同所で汗を流した。

 和田貴広・男子フリースタイル強化委員長(国士舘大教)は「今回の合宿の目的は試合を意識したスパーリング。量も大事だが、いかに試合に近いスパーリングをやるかが大事。一本ずつ全神経を集中してやってほしい」と、実戦に即した練習をリクエスト。

 世界選手権の代表は、中日(31日)以降は体重調整を含めた調整練習になるが、それまでは「けがを注意しつつ、しっかり追い込んでほしい」と言う。アジア大会代表選手には、「(まだ試合まで日にちがあるので)調整ではなく、最後までしっかりと強化に徹してほしい」と伝えた。

 今月初めのポーランド遠征から帰国したあと、選手は各所属での合宿を積んできた。田南部力コーチ(警視庁)はこの日の選手の動きを見て、「しっかり練習してきたことがうかがえる。代表選手同士の練習も積極的にやっていた」と、選手の心身の充実ぶりを評価。2番手選手が世界選手権に行く階級もあるが、「日本のトップだという気持ちで闘ってほしい」と望んだ。

■昨年の世界王者参戦で燃える初出場の高橋侑希(山梨学院大)

 先陣を切って初日に闘う57kg級の高橋侑希(山梨学院大)は「今までの練習を出すだけ。けがをせず、万全の状態で臨みたい」と気合を入れる。出場予定の外国選手のビデオ研究も進めていて、「(昨年の)55kg級世界王者のイラン選手が出場するという情報も入りました。挑戦者として胸を借りるつもりで思い切って闘います」と、日々気持ちが盛り上がっている様子。

 ポーランドでの「ジオルコウスキ国際大会」で銀メダルを獲得。この大会は毎年、“世界選手権の前哨戦”と言われ、かなり高いレベルの大会。その大会で銀メダルを手にして気分よく世界選手権へ臨むと思われたが、「勝てる試合を負けてしまったので、気分よくないです。悔しさいっぱいなんです。悔しさをぶつける世界選手権になります」とのこと。帰国後は、優勝を逃した原因の詰めの甘さの克服に取り組み、やってきたという。

 この日から岐阜市で全日本学生選手権(インカレ)が始まったが、高橋はエントリーせず、世界選手権へかけた。まだ学生のタイトルを手にしていないだけに、ほしいタイトルではあるが、「二兎を追う者は一兎も得ず、ということわざがありますし、初めての世界選手権にかけました」とのこと。

 4年生となる来年の世界選手権も同時期に予定されており、世界選手権代表となれば同じように不参加となるだろう。学生王者になることなく卒業ということも考えられるが、「学生のタイトルより世界ですよ」ときっぱり。来年もインカレに出るつもりはなく、リオデジャネイロへ思いを馳せた。

 今回の合宿には2月に右ひざを負傷して戦線を離脱していた98kg級の山口剛(ブシロード)の姿もあった。昨年の世界選手権96kg級で8位に入賞し、重量級の期待の星だっただけに、本人も周囲も残念な思いだったが、手術を経て全日本チームの練習に戻ってきた。

 「まだ打ち込みだけ。攻防の練習はきついので、あと2ヶ月は打ち込み中心にやっていく予定です」とのことだが、「全日本の雰囲気は、懐かしく、頑張ろうという気持ちになりますね」と気持ちよさそう。「オリンピック予選はまだ先。来年までにはデータがしっかりそろっているでしょう」と、この時期は他選手を十分に研究する時期とも考えているという。

 試合復帰は12月の全日本選手権が目標だが、「まだ完全に戻ってはいないと思います。来年6月(全日本選抜選手権)がピークになればいい」と、焦らず実力を戻していく予定という。