※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
60kg級を制した瀬野春貴(愛知・星城)
今年も、全国高校選抜大会は3回戦敗退、インターハイは2回戦敗退だった。瀬野は「3年間やってきて、やっと、という感じです。1年生の時から全国優勝が夢だった。やっとかなえられました」と、舌も滑らかに優勝の喜び。
決勝の相手の嶋江翔也(佐賀・鳥栖工)は、昨年のJOC杯カデット・グレコローマンで優勝し、インターハイで2年連続2位に入賞するなど全国的に名前の通っている選手。しかし、「やってきたことを全部出してやる」と思って臨んだので、「特に緊張はありませんでした」と言う。
試合は首投げの投げ合いに勝ってポイントを先行し、追い上げられながらもリードを守り切った展開。リードしても、「守るという気持ちではなく、前へ、前へと出る気持ちだった。観客のみんなに自分の技を見せてやる、という気持ちでした」と振り返り、前向きな気持ちが勝利につながったことを強調した。
前日の準決勝までの5試合では、3回戦で闘った佐々木巧海(群馬・館林)戦が唯一の判定で、あとはフォールかテクニカルフォール勝ち。「3回戦はきつかったですね」と言いながらも、6-0での勝利であり、失点のない快勝と言える試合だった。「自分を信じてやってきたことが、優勝につながったと思います」と言う。
今月のインターハイは、2回戦で優勝した米澤圭(秋田・秋田商)に敗れた。1年生の国体からグレコローマンに出場するなど得意なスタイルはグレコローマンだが、専門外のフリースタイルであっても、負けたのは悔しい出来事。「インターハイを取れなかった以上、この大会は絶対に勝つという気持ちでした」と言う。 試合に勝ち、優勝の味をかみしめる!
卒業後もグレコローマンに専念すべく、日体大への進学を決めている。「日体大のグレコローマンのイメージは?」との問いに、苦笑いを浮かべ、しばし沈黙のあと、「強い、厳しい」という答。「その中に、あえて飛び込む理由は?」との問いには、「強くなりたいからです。日本一、世界一になりたいからです」と即答した。
星城の先輩には昨年の世界選手権フリースタイル60kg級代表の前田翔吾(クリナップ)がいて、目標としている。愛知県からは、男子フリースタイル74kg級の山中良一(日体大助=名古屋工卒)も今年のアジア選手権(カザフスタン)で銅メダルを獲得し、世界へ飛び立とうとしている。身近な先輩を目標に、世界への挑戦が本格的にスタートした。