※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=増渕由気子、撮影=保高幸子) 地元インターハイで燃えた内藤由良(神奈川・磯子工)
内藤は大会の主役選手だった。開会式では全選手を代表して、選手宣誓を行い、学校対抗戦ではチームのエースとして活躍。後半の個人戦でも疲れを見せず、準決勝では春の全国高校選抜大会準決勝で敗れた藤井達哉(滋賀・栗東)にリベンジして神奈川県勢唯一の決勝進出を決めた。
会場全体が内藤の応援団のようだった。準決勝戦では後半まで藤井にリードを許し、何度もタックルを試みるも藤井の堅いディフェンスに阻まれた。それでも、「選抜では負けたけど、地元では負けられない」という気持ちで、ラスト30秒を切ったところで再びタックル。それが決まって6-2と突き放して勝利した。
全国高校選抜大会負けた後、内藤は両足タックルを磨いてきた。その成果を大舞台で発揮できた。勝ち名乗りを受ける内藤に、会場から割れんばかりの拍手が起こった。
藤井にリベンジした勢いで優勝したいところだったが、決勝ではユース・オリンピック代表の山崎弥十朗(埼玉・埼玉栄)のアンクルホールド地獄の前にテクニカルフォール負け。必死にアンクルホールドをこらえる姿に、会場からは悲鳴があがった。内藤は「(準優勝の)うれしさより、悔しさが残ってしまった」と唇をかんだ。 決勝では山崎弥十朗(赤)のアンクルホールドを防げず
高校にはビッグタイトルが3つある(全国高校選抜、インターハイ、国体)。まだまだ高校のシーズンは続く。「次の目標は?」と質問すると、内藤は数秒、間をおいてから話し始めた。「ずっと、この大会を目標にやってきたので…。今までのすべての試合はインターハイのための練習だと思ってやってきた」とこの大会にかけた思いをぶつけた。
中学時代に、神奈川でインターハイが行われると知り、そこで活躍するために努力してきた。それだけに「優勝したかった」と声を震わせた。
だが、最後には次の目標をしっかりと見据えた。「グレコ(全国高校生グレコローマン選手権)も出ますし、国体も出ます。国体はフリースタイルだと思うので、インターハイのリベンジをしっかりできるようにしたいです」。地元インターハイをステップに更なる飛躍を誓った。