2014.08.11

【インターハイ・特集】地元開催のプレッシャーにこたえた準優勝…男子84kg級・内藤由良(神奈川・磯子工)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文=増渕由気子、撮影=保高幸子)

 神奈川・横須賀市で行われたインターハイ。地元からは学校対抗戦で磯子工が創部初のベスト8に進出し、個人戦でも同校のエースで主将の内藤由良が男子84kg級で準優勝。地元開催に花を添えた。

 内藤は大会の主役選手だった。開会式では全選手を代表して、選手宣誓を行い、学校対抗戦ではチームのエースとして活躍。後半の個人戦でも疲れを見せず、準決勝では春の全国高校選抜大会準決勝で敗れた藤井達哉(滋賀・栗東)にリベンジして神奈川県勢唯一の決勝進出を決めた。

 会場全体が内藤の応援団のようだった。準決勝戦では後半まで藤井にリードを許し、何度もタックルを試みるも藤井の堅いディフェンスに阻まれた。それでも、「選抜では負けたけど、地元では負けられない」という気持ちで、ラスト30秒を切ったところで再びタックル。それが決まって6-2と突き放して勝利した。

 全国高校選抜大会負けた後、内藤は両足タックルを磨いてきた。その成果を大舞台で発揮できた。勝ち名乗りを受ける内藤に、会場から割れんばかりの拍手が起こった。

 藤井にリベンジした勢いで優勝したいところだったが、決勝ではユース・オリンピック代表の山崎弥十朗(埼玉・埼玉栄)のアンクルホールド地獄の前にテクニカルフォール負け。必死にアンクルホールドをこらえる姿に、会場からは悲鳴があがった。内藤は「(準優勝の)うれしさより、悔しさが残ってしまった」と唇をかんだ。

 インターハイの4日間、神奈川のエースという重圧を背負ってマットに立っていた。「プレッシャーはすごくありましたし、緊張しました。でも、みんなの応援がすごく力になったので、感謝しています」。

 高校にはビッグタイトルが3つある(全国高校選抜、インターハイ、国体)。まだまだ高校のシーズンは続く。「次の目標は?」と質問すると、内藤は数秒、間をおいてから話し始めた。「ずっと、この大会を目標にやってきたので…。今までのすべての試合はインターハイのための練習だと思ってやってきた」とこの大会にかけた思いをぶつけた。

 中学時代に、神奈川でインターハイが行われると知り、そこで活躍するために努力してきた。それだけに「優勝したかった」と声を震わせた。

 だが、最後には次の目標をしっかりと見据えた。「グレコ(全国高校生グレコローマン選手権)も出ますし、国体も出ます。国体はフリースタイルだと思うので、インターハイのリベンジをしっかりできるようにしたいです」。地元インターハイをステップに更なる飛躍を誓った。