※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子) “最強女子”と評判の選手を破った谷内謙斗(志賀ジュニア)
試合は伊藤が序盤からタックルで攻めて大量リードを奪う展開だった。しかし、後半になると伊藤のスピードに慣れてきた谷内がタックル返しを連続で決めて8-8の同点でタイムアップ。延長戦に突入し、伊藤がタックルに来たところを再度タックル返しで得点し、決着をつけた。
相手の伊藤は、昨年、男子の部で大会4連覇を達成し、テレビクルーが密着取材するなどの注目選手。谷内は2年前の地方大会で対戦し、負けた経験があった。だが、その伊藤に勝てるだけの準備はしてきた。
山下勝監督(国士舘大OB=1988年アジア選手権2位)は「同年代の練習相手がいないため、中学生や高校生と練習させています。この春からは朝練習も始め、週6日、みっちりやってきました」と話す。谷内本人も「厳しい練習をしっかり耐えてきたので、その努力が報われてよかった」と満足気に話した。 決勝で闘う谷内
しかし、序盤取られても後半取り返せるように練習量を増やして体力や自信をつけさせて試合に臨ませた。そんな体力があったおかげで、谷内は伊藤のスピードに慣れた後半から反撃を開始して逆転することができた。
伊藤が女子だったことについて、山下監督は「いくら強くても女の子なんだぞ! と言いました。男のプライドがまさりましたね。よくやってくれました」と評価。谷内だけでなく、志賀ジュニアは昨年の「2位1名」から「優勝1名、2位3名、3位3名」と計7名が入賞。チーム全体が飛躍を遂げた全国少年少女大会だった。
![]() 山下監督(左)、父・正則さんとともに |
![]() 躍進した石川・志賀ジュニア |