2014.06.01

【東日本学生リーグ戦・特集】新生なった大会を振り返る…東日本学生連盟・多賀恒雄会長インタビュー

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 東日本学生レスリング界の最大のイベント、東日本学生リーグ戦が終わった。今大会からリーグ戦のシステムが変わり、決勝戦がなくなくなる反面、初日から上位チームが激突するなど、様変わりのリーグ戦となったのは事実だ。

 リーグ戦の改革を実行した東日本学生連盟の多賀恒雄会長に、今後のリーグ戦のあり方などを聞いた。(聞き手=樋口郁夫)


 ――今年のリーグ戦は、システムが変わっての最初の大会でした。率直な感想をお聞きしたい。

 多賀 初日から白熱した試合があり、よかったと思う。日体大-早大、拓大-国士舘大といった上のレベルの試合だけでなく、中堅のチーム同士、下位のチーム同士でも全力での試合が多く、初日から活気のあるいい大会だった。

 ――従来なら、初日に1敗を喫しても、上を目指して最終日まで頑張れるシステムだった。上位入賞の望みがなくなり、2日目、最終日にモチベーションが下がる場合も出てきた。

 多賀 勝負の世界、それを言ったら何もできない。どんな時でも上を目指して全力で闘うべきだ。ひとつでも上へ行く気持ちを持たなかったら、おしましだ。

 ――このシステムは、今後も続けますか?

 多賀 やめろ、という声は聞かない。新人選手権(6月25~27日)の時に学連の理事会があり、議題に上がるかもしれないが、こちらから議題として用意するつもりはない。

 ――システムそのものは変えなくとも、微修正の必要を感じたことはありますか。

 多賀 翌年の組み合わせ方法は検討の余地があると思った。今年は、昨年の1~4位(厳密には1位、2位、A組2位、B組2位)をA~D組に分け、それ以外の大学を抽選で割り振った。そうではなく、5位以下も自動的に割り振るのでいいような気がする。5位=D、6位=C、7位=B、8位=A、9位=A…、という感じで。

 ―― 一部リーグ16大学は多すぎる、という意見をよく聞く。

 多賀 そういう声はあると思う。部の運営のため一部リーグにいる必要がある大学もあり、やむをえない部分はある。学生レスリングは強化だけはなく、普及も考えていかねばならない。多くの大学が「16チームは多すぎる」と言うのであれば、考えていかねばならない。

 ――勝負の世界、「みんなで一緒に」という考えは捨てねばならない時もあるのではないか。

 多賀 厳しさが足りない、ということだろう。理事会で議題に上がるかもしれない。みんなの意見を聞いて検討していきたい。

■97kg級の問題、試合順の問題などで検討の余地あり?

 ――階級区分が変わりましたが、オリンピック階級の97kg級を実施しないのはおかしい、という意見を多く聞く。

 多賀 3月の理事会で投票によって決まった。個人の意見は控えたい。

 ――97kg級の選手の活躍や鍛錬の場を取り上げるシステムはいかがなものか。オリンピックへ向け、重量級の強化をどう考えているのか。

 多賀 理事会の議題として上がれば検討する。

 ――リーグ戦での闘いは選手のハートの強化に役立つと聞く。現在の軽量級から順に闘うシステムでは、チームの勝敗を決する緊張した試合は重量級の選手しか経験できない。西日本学生リーグでやっているような抽選で試合順を決める方式は、軽量級にもその緊張感を経験してもらうことができるいいシステムだと思う。

 多賀 そういう案は聞いている。いいシステムだと思うので、今度の理事会で議題に上げるつもりだ。

 ――東日本学連の役員の中に「西日本がやっていることを真似できるか」という対抗意識があって、表に出てこなかった、という声を聞いたことがある。そういう気持ちはあるのか?

 多賀 あるわけない。いいもの、選手のためになるもの、であれば取り入れるのが当然だ。

 ――今年、群馬大学が部員不足で棄権した、他にも部員不足が明白で、来年、さ来年はどうなのかな、と思う大学がいくつかある。

 多賀 加盟大学の減少に対しては、極めて大きな不安を持っている。二部リーグの充実を考えていかねばならないが、具体的にどうすればいいのかとなると、うまい案が出てこない。各大学に努力をお願いするしかない。連盟に何らかの要望があれば、こたえることはしたい。

 ――最初は同好会レベルでいいから、新たな大学の参入もあってほしい。

 多賀 その通りだ。そういう大学が出てほしい。