※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)
存在で山梨学院大の優勝に貢献したオレッグ・ボルチン
昨年の山梨学院大優勝を支えた守護人、125kg級のオレッグ・ボルチンが、今年も5戦全勝をマーク。同大学の連覇に貢献した。
「貢献した」という表現は語弊があるかもしれない。昨年は、決勝の早大戦など強豪大学との対戦はことごとくチームスコア3-3の状況での出番だったが、今年は全試合、チームの勝利が決まっていた状態での試合。「去年に比べて楽だった」という言葉は正直な気持ちだろう。
星取り的には“貢献なし”であっても、山梨学院大の選手に「最後にボルチンがいるから」という安心感を与え、支えになっていたのは事実。優勝への貢献度は十分に高い。それを指摘されると笑みを浮かべ、「チームが勝ててよかった」とにっこり。
来日してから1年以上。全日本合宿にも参加して重量級の練習相手になるなど、山梨学院大のみならず日本重量級のレベルアップにも貢献している。日本の重量級は「選手数は少ないけど、強い選手はいる。国内での競争がもっと必要だと思う」と、多くの選手の中で競い合う状況があれば、もっとレベルが上がっていくと見ている。
骨格の違いによるパワーの不足はあるが、「スタミナで補えるのではないか。欧米の選手が試合の最後にばててしまうのに対し、日本選手は動けている。そこを強化していくべきだろう」と話した。
個人的には、6月中旬にカザフスタンで世界選手権の予選があり、帰国して参加する予定。今年の世界選手権はカザフスタンの隣国のウズベキスタンで開催されるので、出場したい気落ちは大きい。「勝てるチャンスはある。頑張りたい」と話した。
世界選手権代表になるほど力をつければ、来年は今年以上の存在感で山梨学院大を支えることになるが、日本の重量級選手にとっては願ってもない状況。胸を借りて実力をアップしてくれることが望まれる。