2014.04.26

【アジア選手権第3日・特集】5年ぶりのアジア女王に輝く!…女子63kg級・伊藤友莉香(自衛隊)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文・撮影=池田安佑美)

 5年ぶりの栄冠に返り咲き! アジア選手権女子63kg級は、2009年女子59kg級女王の伊藤友莉香(自衛隊)が決勝で中国のハン・インヤンを破って5年ぶりにアジア女王の座についた。伊藤は、「今回はあまり強い選手が出ていなかったので、ここで負けたら駄目だと思っていた。勝ててホッとしている反面、課題がいっぱいあったので、修正していかなければならないです」と話し、勝って兜の緒を締めた。

 決勝は前半で0-4とリードされる苦しい展開。伊藤の悪いくせが出てしまった。「むやみにタックルに行くなとコーチにも言われているのに、それが出てしまった。自分でもこれではだめだと入りながら思っている」と、前さばきなしのタックルを何本も繰り出してしまった。相手の態勢は崩れていないため、簡単につぶされてしまってポイントにつなげられなかった。

 セコンドからは「もっと相手を動かして、落ち着いて入れば取れる!」との声が飛ぶ。後半は同じ轍(てつ)は踏まないとばかりに、組み手を駆使して相手を崩してからのタックルに切り替えた。すると、面白いよう連続でテークダウンを奪って、あっという間に8-4と“ダブルスコア”の大差をつけて試合終了。「優勝」の二文字を手に入れた。

 さかのぼること5年前、伊藤は彗星のごとく頭角を表し、次世代の中量級のホープとして注目された。だが、これまで世界選手権には出場できず、アジア選手権も2010年(59kg級)、2013年(63kg級)と出場したが、それぞれ3位、2位と優勝できなかった。しかも2010年のアジア選手権では試合中に肩を脱きゅうし、救急車で現地の病院に運ばれるというアクシデントに見舞われた。

 63kg級は、絶対女王だった伊調馨(ALSOK)が階級区分の変更を機に階級ダウンして抜け、昨年の全日本選手権は一気による争いとなった。伊藤にも十分に全日本女王のチャンスがあったが、渡利璃穏(至学館大)に屈して2位。6月の全日本選抜選手権で渡利に勝って優勝しなければ、今年のアジア選手権、世界選手権は見えてこない。

 「今の段階では世界選手権やアジア大会の候補にも入っていないので、選抜で優勝して日本代表になれるように頑張りたい。渡利選手にも、今勝っておかないといけないと思う」。伊調が抜けた63kg級の次世代エースの座を伊藤は奪取できるだろうか―。