2014.04.25

【アジア選手権第2日・特集】初の国際大会3位入賞も悔し涙…男子フリースタイル70kg級・保坂健(早大)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文・撮影=池田安佑美)

悔しい涙の銅メダル! アジア選手権の男子フリースタイル70kg級は、3月の代表決定プレーオフを勝ち抜いて代表入りした保坂健(早大)が3位決定戦でインド選手を破り、国際大会初の3位入賞を果たした。しかし、「悔しいです。初戦から全然ダメでした。最後も気持ちで負けていました」と、涙を流して悔しがった。

 初戦(2回戦)のタジキスタン戦は7-0と大量リードを奪い、さらにフォールへ追い込んでレフェリーとジャッジが手を挙げる状況にまで相手を追い詰めた。だが、「もう、フォールだと思って力をゆるめてしまった。そこで体勢を入れ替えられてしまった。油断しました」と、逆転フォール負けを喫した。

 気持ちを切り替えて臨んだ3位決定戦では、アクシデントが起こった。相手のインド選手が体全身にオイルを塗ってマットに上がり、審判が試合前に、タオルで入念にふき取りを命令し、試合開始が遅れるという異常な雰囲気となってしまった。

■相手のオイルを非難せず、追い上げられたことを反省

 タオルでふき取ったところで、汗をかくにつれて相手の体はすべっていく。保坂は得意のタックルを繰り出すが、明らかに滑って足を取り逃す場面が見られた。その中でも6点を奪ってリードを広げたが、後半は徐々に失速。最後はバックを取られるなどして6-3のスコアで終了した。

 「オイルを塗っていましたが、(試合では)審判が気づかない場合もあるし、その選手がホームの選手だったらなおさら。どんな状況でも勝っていかないと」と、オイルは気にしなかったようだが、終盤の失点は反省材料。「最後、やらなくていいところでポイントを与えてしまった。本当に悔しい…。勝った気がしないです」と目を潤ませた。

 階級区分が変わり、自身の66kg級がなくなった直後、「レスリングを続けるかどうか考えたい」とも発言した。70kg級が非オリンピック階級ながら新設されたことでモチベーションは回復。「コーチとも相談し、70kg級で世界を見てから最終的に74kg級でオリンピックを目指したい」。高い目標を見据える保坂は、初のアジア3位でも喜ぶことはなかった。

 次の目標は6月の明治杯全日本選抜選手権。今回は特別試合(プレーオフ)を経ての日本代表だったが、「今度はきちんと優勝し、正式なナショナルチームの一員になりたい」ときっぱり宣言した。