2014.04.08

アジア選手権代表を含む全日本女子チームが合宿スタート

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

アジア選手権(4月23~27日、カザフスタン・アスタナ)の日本代表を含む女子の全日本チームが4月7日、東京・味の素トレーンングセンターで今年度最初の合宿をスタートした。同選手権の代表にとっては、最後の追い込む練習。前日のジュニアクイーンズカップに出場した選手にとっては、見つかった課題への取り組みがテーマだ。

 栄和人強化委員長は「向田真優(カデットkg級)や川井梨紗子(ジュニア59kg級)ら飛び抜けて素晴らしい選手もいたが、全体的に見ると、もっと必死になって2020年へ向けての強化をやっていかなければ、(同年の東京オリンピックで)目標とする金4~5個には届かない」と話し、6年後を見据えた強化に徹したい意向を話した。

 各選手の技術は決して低くないというが、「技術というのは、実は目に見えない。弱い相手になら、どんな技術でも素晴らしく見えるし、強い相手には理詰めの技術でも通じない。技術の向上は必要だが、それにこだわるのではなく、勝つことに徹してほしい。必要なことは、精神力であり、勝利への執念だ」と、気持ちの強さを望んだ。

選手に対しては、先月末の全国高校選抜大会の学校対抗戦決勝で霞ヶ浦高(茨城)が館林高(群馬)に絶体絶命のところから大逆転優勝したことを説明し、「技術的には館林が上だった。しかし、霞ヶ浦が逆転勝ちした。技術以上のものがあった。勝つために必要なそれを見つけてほしい」と話した。

■アジア選手権2連覇を目指す鈴木博恵(クリナップ)

 アジア選手権で、昨年に続く優勝を目指す75kg級の鈴木博恵(クリナップ)は、左脚に軽い肉離れがあり、この日はスパーリングはやらなかったが、大事には至っておらず、早ければきょう8日にも復帰して、大会へ向けて追い込む予定。「去年優勝しましたが、そのあとの世界選手権で中国が優勝し、マニュロバ(カザフスタン=ロンドン・オリンピック72kg級3位)も復帰してきました。去年優勝したからどうだ、という思いは全くないです」と、気持ちは挑戦者。

 昨年12月の全日本選手権で浜口京子に敗れて3位入賞を果たせず、先月の東京開催のワールドカップを外から見つめなければならなかった。浜口のみなならず、外国のライバル選手が晴れ舞台で闘う姿を見るのは、決していい気持ちではなかっただろうが、「自分もこの舞台で闘う力はある」という気持ちが強く、結構冷静に見られたという。

昨年のアジア選手権優勝のあと、11月のNYACホリデー国際大会(米国)、今年3月のモンゴル・オープンと優勝しており、“優勝率”は高い。しかし「肝心の世界選手権が2回戦負けでは…。大事な試合で勝てるよう頑張ります」と話し、まずアジアV2へ全力を尽くす。

 合宿には、昨年の世界選手権59kg級で5位入賞を果たしたあと、右肩手術で戦列を離れていた伊藤彩香(至学館大)が復帰参加した。まだ完全復帰ではなく、崩しや技の切りなどを中心とした練習だが、「所属での練習に比べると強い選手が多く、刺激になります」と、久しぶりに全日本のムードに触れて気持ちは高揚。

 肩は時に痛む時もあり、まだ慎重を期したい時期だが、先月のワールドカップを見て、「このままでは間に合わないかな、という気持ちが出てきてしまい、ついやってしまうんですよ」と笑う。しかし、「焦って悪くしては何もなりませんので」と、時にブレーキをかけながら完全復帰を目指す。

 ブランクの間に階級区分が変わり、59kg級がなくなった。幸い、オリンピック階級ではないが60kg級という階級ができたので、当面この階級で闘い、世界選手権出場を目指すという。予選となる6月の全日本選抜選手権はぶっつけ本番の出場。体力がどの程度戻っているかも分からず不安は大きいが、「がんばります」と、復活へ向けての一歩を踏み出した。 


吉田沙保里

伊調馨

浜口京子

伊藤彩香