※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
設立会見に臨んだ福田富昭会長(中央)ほか
アマチュアスポーツ界の活動資金不足の解消を目指して立ち上げた事業。アマチュアスポーツの競技団体は、莫大な入場料収入やテレビの放映権収入が見込める一部の競技団体を別にして、ほとんどが活動資金のねん出に苦労しており、協賛企業からの寄付に頼っているのが実情。
福田会長は「企業からの献金だけでなく、競技団体が自分達で集金できる制度として発足させた。オリンピックのみならず、パラリンピックの競技にも資金が行き届く仕組みを目指す」と、設立趣旨を話した。現在は本協会のみの参加だが、今後は多くの競技団体に広げていくという。
具体的には、個人の支援者に競技団体へのサポートをお願いするシステム。それぞれのプロジェクトに対し、1000円、3000円、5000円、1万円、3万円などを支援(寄付)してもらい、その金額に対して、オリンピック選手からの動画メッセージや、サイン色紙などが提供される。
現在行われているプロジェクトは、「レスリング情報戦略担当者の世界大会派遣プロジェクト」「全国少年少女レスリング選手権大会へのオリンピアン派遣プロジェクト」「レスリング小学生全国大会成績優秀者の海外視察派遣プロジェクト」「東北でのちびっこレスリング教室開催プロジェクト」の4つ。支払いは、クレジットカードのみで受け付ける。(下記サイト参照)
http://sports-ouendan.jp/
http://sports-ouendan.jp/projects/list.php
現在、本協会は国から日本オリンピック委員会(JOC)を通じ、競技団体では最高レベルの強化費が支給されているが、その全額を無条件に使えるわけではない。1億円の強化費が認められた場合、協会が2分の1の金額の5000万円を集めることで、その1億円が使える(2000万円しか集められなければ、4000万円しか支給されない)。
新しい試みに期待する(左から)初瀬選手、栄強化委員長、伊調選手、吉田選手
吉田選手は「レスリングは練習にパートナーが必要。多くの練習相手を大会に連れて行ってもらうことで、いい練習ができる。個人の方からの目に見える具体的な応援はありがたいと思う」と、伊調選手は「若手の強化にためにも、多くの選手を海外に派遣してほしい。震災の被災地のために、具体的な支援が期待できる」とそれぞれ話し、今までにない試みを歓迎した。
栄強化委員長は「ナショナルチームの強化だけでなく、底辺の広がりに貢献できる制度。全体の底上げが期待できる」と話した。
会見には、2008年北京パラリンピックの柔道に出場した初瀬勇輔選手も出席。「私たちは、陸上でもスキーでも伴走者が必要だが、(パラリンピックでも伴走者は)自費参加が珍しくない。障害者スポーツの底上げのため、多くの方々から支援をお願いしたい」と期待した。