※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
JWFメダルポテンシャルアスリート育成システム構築事業
プロジェクトマネジャー 清水聖志人
清水聖志人コーチ(MPA事業)による技術指導
その中の一つが、独立行政法人日本スポーツ振興センターが委託を受け、本協会が受託している「メダルポテンシャルアスリート育成システム構築事業」である。本事業は、発掘されたアスリートが代表チームに上がっていく道筋(パフォーマンスパスウェイ)を構築するとともに、各強化段階にあるアスリートを次段階へと引き上げるための強化・育成活動を通してシステムを構築する事業である。
11月8日(金)~11日(月)の期間、東京・味の素ナショナルトレーニングセンターにおいてメダルポテンシャルアスリート育成システム構築事業(以下、MPA)の一環にて、第一回女子カデット・ジュニアMPAキャンプを実施した。今回のキャンプにおいては、日本レスリング界の将来を担うカデット世代(U-17)14名、ジュニア世代(U-20)12名の有望選手、計26名が参加した。
本協会のMPA事業は「インテリジェントレスラーの育成」をコンセプトとしており、全国のU-12世代、U-15世代、カデット世代、ジュニア世代から優秀なタレントを発掘し、国内育成プログラム(MPAキャンプ)によって育成を行う。MPAキャンプに参加した中で、特に優秀なタレントには海外育成拠点での実践機会を提供する。
また、高度レベルの競技活動を通して得た経験や知識を基に、日本のリーダーとなれるアスリートの育成を目指すため、「教育プログラム」に注力しているのが特徴である。今回キャンプにおいては、「目標設定とそのプロセス」、「目標達成までのイメージを創る」、「目標達成までのプランを考える」などの3つの教育プログラムが展開された。
フィットネス測定の様子
マット上におけるトレーニングにおいては、今年度の、世界ジュニア選手権大会等における結果と内容を分析し、この世代の技術的課題について徹底した技術指導を行った。組手からアタックまでの展開、ポイント獲得までの処理、コンタクト状態(2on1、差し)からのオフェンスとディフェンスを指導した。教育プログラムにおいては、選手が常に自ら考え質の高い行動をとる為の座学によるトレーニングを行っている。マット上(実践の場)においても、コーチが選手に質問を投げかけながら選手自身が技術展開を考えるためのコーチングを展開した。
なお、男子ナショナルチームが行っている内容と同様の形態測定、フィットネス測定を実施し、キャンプ最終日に測定データのフィードバック及び、ナショナルチームとの比較を基にフィットネスレベル向上に向けたカウンセリングを実施した。
MPAキャンプは、優れた才能を持ったアスリートに対して、最適な機会をパッケージ化された育成プログラムとして提供している。今回実施された、トレーニングにおいては、ナショナルチームも指導するコーチらが担当したことで、年代に応じた高品質のコーチングを提供することができた。
教育プログラムにおいては、レスリング競技の金メダリストやスポーツ心理学のエキスパートより、インタラクティブなプログラムを展開いただき、参加選手たちの評価も高かった。
レスリング競技のオリンピック除外問題を受け、女子レスリングに関しては、実施階級が6階級となり、多くの選手にチャンスが広がった。今後のオリンピック競技大会でのメダル獲得に向け、長期的な視点に立った女子レスリング競技者の育成システム構築を推進する必要がある。
本事業は、オリンピック競技大会において永続的にメダルを獲得できる強化・育成システムの構築を目指すものであり、文部科学省及び独立行政法人日本スポーツ振興センターより事業の成果報告が求められる。このことから、本協会に関わる全ての関係者が方向性を共有し、事業の推進に努める必要がある。
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![]() 佐藤満 教授(専修大学教:JWF情報戦略委員長)による教育プログラム |
![]() 土屋裕睦教授(大阪体育大学大学院教:スポーツ心理学者)による教育プログラム |
![]() 島本好平先生(兵庫教育大学:スポーツ心理学者)による教育プログラム |
![]() 教育プログラムの様子① |
![]() 教育プログラムの様子② |
![]() 齋藤 将士コーチ(警視庁)による技術指導 |
![]() 実戦練習(スパーリングの様子①) |
![]() 実戦練習(スパーリングの様子②) |