※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
JWFメダルポテンシャルアスリート育成システム構築事業
プロジェクトマネジャー 清水聖志人
キックオフミーティングの様子
12月13日(金)~15日(日)の期間、東京・味の素ナショナルトレーニングセンターにおいてメダルポテンシャルアスリート育成システム構築事業(以下、MPA)の一環にて、第一回U-15MPAキャンプを実施した。今回のキャンプにおいては、日本レスリング界の将来を担うU-15世代の男子12名、女子11名の有望選手、計23名が参加した。
キャンプ開始前には、キックオフミーティングを実施し、MPA事業の概要説明と方向性の共有を行った。目標達成に向けて、計画、実行、評価、改善のサイクルにおける重要性や、国際オリンピック委員会(IOC)がオリンピックバリューとして標榜するExcellence(卓越)、Respect(尊敬)、Friend ship(友愛)を意識して取り組むことを求めた。なお、初日のプログラムには、保護者や所属のコーチ等も参加した。
田南部力コーチ(警視庁)・清水聖志人コーチ(MPA)による教育プログラム(目標設定スキルの養成)
教育プログラムⅠ.では、「目標設定」や「考える力」のスキルにフォーカスし、グループワーク形式や映像を活用したディスカッションを展開した。教育プログラムⅡ.においては、午前中に実施した形態測定やフィットネス測定のデータを選手自身がグラフにまとめ、シニアの選手のデータと比較することで、現在のフィットネスレベルの評価を行い今後のトレーニング計画作成やコンディショニングについて考える機会となった。
マット上におけるトレーニングにおいては、組手からアタックまでの展開、ポイント獲得までの処理、がぶり、投げ技等、U-15世代に必要な基本技術について徹底したコーチングを行った。なお、本事業において、グレコローマンスタイルスペシャリスト育成プログラム構築を目指しているため、2日目のマットトレーニングにおいてはグレコローマンスタイルのコーチから専門的スキルのコーチングを実施した。
田南部力コーチ(警視庁)による教育プログラム(「考える力」の養成)
MPAキャンプは、優れた才能を持ったアスリートに対して、最適な機会をパッケージ化された育成プログラムとして提供している。今回実施されたトレーニングにおいては、ナショナルチームも指導するコーチらが担当したことで、年代に応じた高品質のコーチングを提供することができた。
今回のキャンプにてトライアルとして実施したU-15世代からのグレコローマンスタイルプログラムに対する順応の速さには、目を見張るものがあった。これまで日本においては、高校を卒業後にフリースタイルからグレコローマンスタイルへ種目転向を行う傾向であったが、今後は、より早期からのグレコローマンスタイルの適性を見出し、専門的な機会を提供することが肝要となる
本事業は、オリンピック競技大会において永続的にメダルを獲得できる強化・育成システムの構築を目指すものであり、文部科学省及び独立行政法人日本スポーツ振興センターより事業の成果報告が求められる。このことから、本協会に関わる全ての関係者が方向性を共有し、事業の推進に努める必要がある。
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![]() 相澤勝治 先生(専修大学:JWFスポーツ医科学委員会副委員長)による教育プログラム |
![]() 教育プログラムの様子① |
![]() 田南部力コーチ(警視庁)による技術指導 |
![]() 伊藤広道コーチ(自衛隊)による技術指導 |
![]() フィットネス測定の様子(300m×6インターミッテント走) |
![]() フィットネス測定の様子(30秒×3セット) |