2014.03.12

「幸せな人生だったのではないかと思います」…涙ながらに話した栄和人・女子強化委員長

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

オリンピック三連覇、世界V14の吉田沙保里選手(ALSOK)を育てた吉田栄勝さんが3月11日に、急逝した。全日本チームの栄和人監督は、この日から始まる全日本合宿に参加するため、吉田、登坂絵莉、土性沙羅(ともに至学館大)らとともに午前9時すぎに車で名古屋を出発。東名高速で移動している最中に訃報を受けた。急きょ、最寄りの掛川駅で吉田を下し、三重県津市の自宅へ向かわせたという。。

 吉田栄勝コーチは2009年から全日本コーチとして栄和人監督を助け、ロンドン・オリンピックでは2人が吉田沙保里選手のセコンドにつき、同選手のオリンピック3連覇を支えた。

 2人は吉田が高校2年時、国際大会の遠征に監督(吉田)、コーチ(栄)として同行してからの付き合い。すでに女子の指導者として実績を残していた栄監督に、吉田さんが「(沙保里を)お願いします」と伝え、引き受けることになった。それだけに栄監督の思い入れは強かった。

 「吉田さんは、幸せな人生だったのではないかと思います。娘の(オリンピック)3連覇を目の前で見て、肩車してもらい、世界14連覇を達成して国民栄誉賞までもらって。でも悔しいのは、沙保里の結婚や子供を見届けないうちに、あの世に逝ってしまったこと。娘の人生の幸せを見届けなかった吉田コーチに、『何をしているんだ!』と言いたいです」と、時折声を詰まらせた。

 吉田と同じ三重・一志ジュニア教室出身の69kg級の土性沙羅(至学館大)は「いきなりで、びっくりして信じられない。吉田先生は厳しくて優しい先生で、攻めることが大事と教えてもらった。そのおかげで今の自分がある。吉田先生のために、ワールドカップで団体優勝します」と誓った。