※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
【上】会見で飾られた吉田栄勝さんの遺影とロンドンで娘を肩車した写真。【下】涙を流しながら吉田さんとの思い出を話す栄和人監督
吉田栄勝コーチは2009年から全日本コーチとして栄和人監督を助け、ロンドン・オリンピックでは2人が吉田沙保里選手のセコンドにつき、同選手のオリンピック3連覇を支えた。
2人は吉田が高校2年時、国際大会の遠征に監督(吉田)、コーチ(栄)として同行してからの付き合い。すでに女子の指導者として実績を残していた栄監督に、吉田さんが「(沙保里を)お願いします」と伝え、引き受けることになった。それだけに栄監督の思い入れは強かった。
「吉田さんは、幸せな人生だったのではないかと思います。娘の(オリンピック)3連覇を目の前で見て、肩車してもらい、世界14連覇を達成して国民栄誉賞までもらって。でも悔しいのは、沙保里の結婚や子供を見届けないうちに、あの世に逝ってしまったこと。娘の人生の幸せを見届けなかった吉田コーチに、『何をしているんだ!』と言いたいです」と、時折声を詰まらせた。
吉田と同じ三重・一志ジュニア教室出身の69kg級の土性沙羅(至学館大)は「いきなりで、びっくりして信じられない。吉田先生は厳しくて優しい先生で、攻めることが大事と教えてもらった。そのおかげで今の自分がある。吉田先生のために、ワールドカップで団体優勝します」と誓った。