※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子)
2年ぶりの王座奪還を目指すワールドカップ日本代表選手団
会見の冒頭、福田会長がこの日の朝に急逝した吉田栄勝コーチについて「朝9時ごろ、車の中で亡くなったという一報がありました」と経緯を説明。「吉田コーチは大変すばらしいコーチでした。心からご冥福をお祈りいたします」と無念そうに言葉を述べ、1分間の黙とうをささげた。
再度会見に入り、栄和人監督は「突然のことでびっくり。吉田コーチは、全日本のコーチとして、オリンピック。コーチとして、今まで一緒に戦ってきました。突然の悲報ですが、ワールドカップは若手を中心に選手一丸となって必ず優勝します」と涙ながらに語った。会見中は登壇した選手にも涙が見られた。
選手代表としてあいさつした48kg級世界チャンピオンの登坂絵莉(至学館大)は、涙を潤ませながら「今回は日本開催ということで、吉田先生にいい報告ができるように、チーム一丸となっていきたい」と決意を話し、「世界チャンピオンのプライドを持ち、自分が勝って、日本の団体優勝に貢献したい」と、エースに名乗りを上げた。
福田富昭会長が選手を激励
昨年の世界選手権で3位となり、重量級の新エースとして期待がかかるのは69kg級の土性沙羅(至学館大)。「調子はいい感じ。今回は階級が変わって初めての大会なので、自分がどれだけできるか試したい」と、試合への期待を膨らませた。土性にとって新しいライバルとなりそうなのが、ロンドン・オリンピック金メダリストのナタリア・ボロベワ(ロシア)だ。「勝つつもりで頑張りたい」ときっぱり話し、「沙保里さんや登坂先輩のように、強くなって日本を引っ張っていきたい」と日本代表の自覚をのぞかせた。
吉田のワールドカップ出場に関し、栄監督は「(吉田は)今は話せる状況ではありません。訃報を受け泣き崩れていました。明日、明後日、私は吉田に会いますので、その時にどうするか聞きます」と話した。
なお、オリンピック3連覇で今大会は58kg級にエントリーしていた伊調馨(ALSOK)は、栄監督が「首の負傷のため試合に起用しないかもしれない」と、大事を取っての欠場を示唆した。