2014.03.12

女子ワールドカップ代表チームが会見

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文・撮影=増渕由気子)

3月15日(土)~16日(日)に東京都板橋区・小豆沢体育館で行われる女子ワールドカップで、2年ぶりの優勝を目指す日本代表チームが3月11日、東京・味の素トレーニングセンターで練習を公開。それに先立ち、日本協会の福田富昭会長も出席して記者会見をした。

 会見の冒頭、福田会長がこの日の朝に急逝した吉田栄勝コーチについて「朝9時ごろ、車の中で亡くなったという一報がありました」と経緯を説明。「吉田コーチは大変すばらしいコーチでした。心からご冥福をお祈りいたします」と無念そうに言葉を述べ、1分間の黙とうをささげた。

 再度会見に入り、栄和人監督は「突然のことでびっくり。吉田コーチは、全日本のコーチとして、オリンピック。コーチとして、今まで一緒に戦ってきました。突然の悲報ですが、ワールドカップは若手を中心に選手一丸となって必ず優勝します」と涙ながらに語った。会見中は登壇した選手にも涙が見られた。

 選手代表としてあいさつした48kg級世界チャンピオンの登坂絵莉(至学館大)は、涙を潤ませながら「今回は日本開催ということで、吉田先生にいい報告ができるように、チーム一丸となっていきたい」と決意を話し、「世界チャンピオンのプライドを持ち、自分が勝って、日本の団体優勝に貢献したい」と、エースに名乗りを上げた。

48kg級には、51kg級の世界チャンピオンの参戦が濃厚で、「中国、カナダが敵になってくると思っている。階級が上だったこともあり、やりにくさが出てくると思うので、タックルやタックルの前の崩しを使っておもいっきりやりたいです」と抱負を話した。

 昨年の世界選手権で3位となり、重量級の新エースとして期待がかかるのは69kg級の土性沙羅(至学館大)。「調子はいい感じ。今回は階級が変わって初めての大会なので、自分がどれだけできるか試したい」と、試合への期待を膨らませた。土性にとって新しいライバルとなりそうなのが、ロンドン・オリンピック金メダリストのナタリア・ボロベワ(ロシア)だ。「勝つつもりで頑張りたい」ときっぱり話し、「沙保里さんや登坂先輩のように、強くなって日本を引っ張っていきたい」と日本代表の自覚をのぞかせた。

 吉田のワールドカップ出場に関し、栄監督は「(吉田は)今は話せる状況ではありません。訃報を受け泣き崩れていました。明日、明後日、私は吉田に会いますので、その時にどうするか聞きます」と話した。

 なお、オリンピック3連覇で今大会は58kg級にエントリーしていた伊調馨(ALSOK)は、栄監督が「首の負傷のため試合に起用しないかもしれない」と、大事を取っての欠場を示唆した。